2014 Fiscal Year Annual Research Report
原子間力顕微鏡を用いた細胞力学伝播関数の時空間定量解析
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25286081
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡嶋 孝治 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (70280998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生物物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内に働く力は、細胞骨格を介して細胞核に直接働き、細胞機能を調整する役割があると考えられている。従って、細胞骨格を直接介して時空間を伝播する細胞力学特性の理解は、細胞の生命現象を解明するために重要である。本年度は、前年度に開発したマイクロパターン技術を用いて、細胞運動を制限制御した環境下において、細胞内力伝播の役割をする細胞骨格構造と細胞内小器官の1つである細胞核との時空間挙動について調べた。細胞核の運動の時間発展を測定し、その並進運動と回転運動の平均二乗変位を解析した。その結果、細胞並進運動が細胞骨格、特に、アクチン繊維の構造と密接に関係していることを明らかにした(論文投稿準備中)。次に、マイクロパターン基板上にパターン化した単一細胞の力学特性の空間分布を原子間力顕微鏡により効率的に計測可能なシステムを開発し、多数の細胞の力学特性の空間分布の計測に成功した(論文投稿準備中)。また、シリコーン基板を用いた力センサー基板による細胞牽引力計測法を開発した。本方法は、平坦なシリコーンを用いて、高分子ゲルと同様の精度で細胞牽引力を計測することができる。広く用いられている高分子ゲルはその扱いが煩雑であるが、その高分子ゲル力センサー基板の欠点を補うことができる。さらに、正常細胞とがん細胞との複素弾性率の差異、および、複素弾性率の統計解析技術の改良がなされた。以上のように、これらの技術を用いることにより、細胞弾性率と細胞牽引力との時空間相関を解析する方法論が大きく進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に開発した細胞形状正常技術を用いて、細胞力学伝播特性に関する知見が得られてきた。特に、これまで全く未知であった、細胞骨格(アクチン繊維、および微小管)と細胞内小器官(細胞核)との間に働く力学的相互作用と細胞内小器官の運動との関係が明らかになった。また、シリコーンゲルを用いた力センサーの使用により、高い分解能で安定した細胞牽引力測定を実現できたことがから、本技術とプローブ顕微鏡技術との同時計測が可能になると期待できる。正常細胞とがん細胞の力学伝播特性は次年度に行うことになった。従って、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに開発した技術を用いて、高い空間分解能で、細胞力学伝播特性と複素弾性率とを計測することが可能になった。正常細胞に関する精緻な計測を継続するととともに、その知見を用いて、正常細胞とがん細胞の力学伝播特性の解析を行う。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Filamin acts as a key regulator in epithelial defence against transformed cells2014
Author(s)
M. Kajita, K. Sugimura, A. Ohoka, J. Burden, H. Suganuma, M. Ikegawa, T. Shimada, T. Kitamura, M. Shindoh, S. Ishikawa, S. Yamamoto, S. Saitoh, Y. Yako, R. Takahashi, T. Okajima, J. Kikuta, Y. Maijima, M. Ishii, M. Tada, and Y. Fujita
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 5
Pages: 4428
DOI
Peer Reviewed
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