2014 Fiscal Year Research-status Report
ゴレンシュタイン空間上で展開される導来ストリングトポロジーの研究
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25287008
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
栗林 勝彦 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (40249751)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ストリングトポロジー / ループ空間 / スペクトル系列 / Gorenstein空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gorenstein 空間は向き付けられた多様体、さらにはLie群の分類空間を含む大きなクラスをつくる。今までにMenichi氏と内藤氏との共同研究により, 単連結Poincare双対空間のループホモロジーに収束するEilenberg-Moore スペクトル系列を構成している。関連するプレプリントを発表する段階で再考した結果, スペクトル系列の構成方法を精密化することで, Gorenstein 空間の場合にも一般化することが可能となった。また有理ホモトピー論の適用により, 単連結空間M上のGorenstein空間がつくる双対ループホモロジーはM上の多項式形式のつくる次数付き可換代数の圏におけるHochschild コホモロジーと環同型になることを示した。これは空間のSullivan模型を使って, 双対ループホモロジーの計算可能性を高めたことになる。 与えられた空間がGorenstein空間になるための条件を考察することは導来ストリングトポロジーを豊かにするという意味でも重要である。Hopf 空間にGorenstein性質認識原理を適用し, 単連結Hopf 空間GがGorenstein空間であるための必要十分条件はGのコホモロジー環がネーター的であるという結果を得た。さらにHopf 空間に対するループ積の公式も確立した。結果ループ積はPontryagin積と交叉積のテンソル積で記述できることになる。こうしてネーター的Hopf空間のコホモロジー環が有限次元でないと場合, ループ余積は全て自明であることが判明した。特に単連結Lie群のループ群を考える場合、その有理係数上のループ積は自明となる。無限次元の空間に対するループ積の挙動をはじめて捉えた結果といえる。これらの結果を26年度日本数学会秋季総合分科会トポロジー分科会で報告した。また結果をまとめたプレプリントを準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加群微分子による分類空間のストリングトポロジーに関しては、ファイーバーに沿う積分写像の次数をKoszulサインに基づき変更したため、ほとんど全ての計算を見直すことを行なった。現段階では結果をまだ発表していないが、共同研究者 Luc Menchi氏とは連絡を取り合い着実に研究を進めている。また、単連結空間Xのコチェイン複体とXの基点付きループ空間のチェイン複体の導来圏の間の双対性の証明が完成し, 現在論文を投稿中である。この結果はBlumberg, Cohen, Telemanのストリング圏に関する結果を多様体のレベルから単連結空間に一般化したものである。 この双対性を用いて導来ストリングトポロジーへの応用の検討を始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
Gorenstein 空間のストリングトポロジーに現れる「定数問題」を考察し, ループホモロジーが位相的量子場理論になる条件を明確に記述することを, Luc Menchi氏, 内藤貴仁氏と共に行なう。研究代表者が10年ほど前, 自由ループ空間のコホモロジーを研究する上で導入した 加群微分子が, Lie群の分類空間のストリングトポロジーの研究に役立つことが分ってきた。 この道具とホモロジカル共形場理論, 特にLantern関係式を用いて, 分類空間のループ(余)積さらにはBatalin-Vilkovisky代数構造の解明を進める。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも安価で研究が遂行できた上に, 次年度に開催の国際研究集会に参加予定であるため, 次年度に予算を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際研究集会のための出張旅費または, 自身の出張旅費および本研究に関連し企画開催するセミナー, 勉強会, 研究集会の講師旅費等の一部に本経費を使用する。
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Research Products
(3 results)