2014 Fiscal Year Annual Research Report
非コンパクト空間上の非線形楕円型作用素によるモジュライ理論の構成
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25287009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 毅 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20273427)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゲージ理論 / 非可換幾何学 / Lpコホモロジー / 離散群 / スペクトル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Atiyah-Singer指数定理を土台とした現代の発展においては2つの大きな方向性ががあり,一つはモジュライ理論であり楕円型作用素の指数はそのモジュライ空間の接空間として理解することである.もう一つは,コンパクト多様体の普遍被覆空間上にすべての構造を持ち上げることで,自然に与えられる基本群作用付きの線形楕円型作用素の指数定理であり,Atiyahの$\Gamma$指数定理と呼ばれている.前者はサイバーグウイッテン理論をはじめとするゲージ理論に現れる基本的なメカニズムであり,後者はL2コホモロジー理論と幾何学的群論を通じて,非可換幾何学の基本定理である.ここでの目的はその両者を組み合わせることで普遍被覆空間上でのサイバーグウイッテン理論の構成,特に非コンパクト空間上の非線形局所フレドホルム汎函数に対する写像度の構成が大きな目標となる.今年度の研究において,1次のL2コホモロジーが消えることや正スカラー曲率の存在など,最も解析が易しくなる状況でその構成ができることを示した.それをより有効なクラスに拡張するためにはLpコホモロジーの解析が必要となり,そのtorsionが消える場合に写像度の構成がほぼできている.Lpコホモロジーの解析はこれまでほとんど具体的な計算例が知られてこなかったが,近年非可換幾何学において注目され始めており,今後はそこでの解析との融合をめざすことになる.Lpコホモロジーは基本群の大域解析的な性質で決定されるが,特にそのスペクトル解析が有用となる.今年度の研究成果において,オートマトンから構成される離散群の代表的な例の点灯夫群のスペクトルと可積分系に現れる半群から構成されるスペクトルとが完全に一致することを示した.これはオートマトンの分類への一つの突破口を開いたと言ってよく,今後はその方向への発展が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Atiyah-Singer指数定理から派生した2つの大きな方向性の融合が大きな目標である.一つは非線形楕円型作用素の解集合を研究対象とするモジュライ理論であり,もう一つは普遍被覆空間上の基本群作用付きの線形楕円型作用素の指数定理である.元の空間が非コンパクトであることの困難さは様々な箇所に発生するが,その解析を達成するにはLpコホモロジーの解析が鍵を握ることが分かった.今後はその構成の精密化を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
Lpコホモロジーの解析はこれまでほとんど具体的な計算例が知られてこなかったが,近年非可換幾何学において注目され始めており,今後はそこでの解析との融合をめざすことになる.Lpコホモロジーは基本群の大域解析的な性質で決定されるが,離散群に関わる研究では,そのスペクトル解析とオートマトンから構成される力学系の粗い分類を行う.
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Causes of Carryover |
Lpコホモロジーに関わる、離散群の解析的研究が必要になり、 平成27年度に国際研究集会を開催する運びとなり、そのための費用が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年9月に京都で離散群に関する国際研究集会を開催する。
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Research Products
(6 results)