2016 Fiscal Year Annual Research Report
Donaldson-Tian-Yau予想の存在問題の研究
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25287010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
満渕 俊樹 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (80116102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 竜司 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30252571)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Donaldson-Tian-Yau予想 / K-安定性 / テスト配位 / Donaldson-二木不変量 / 偏極代数多様体 / 定スカラー曲率ケーラー計量 / extremal Kaehler 計量 |
Outline of Annual Research Achievements |
Donaldson-Tian-Yau予想に関して,Tian や Chen-Donaldson-Sunによる Kaehler-Einstein 計量の場合の解決にもかかわらず,一般偏極の場合やextremal Kaehler計量の場合は依然未解決である.昨年度に引き続き,これら未解決の場合を念頭に,Donaldson-Tian-Yau予想の解決を目指して,関連する諸問題に取り組んだ.その結果,本年度の研究成果として以下の結果を得た.
(1) K-安定性を少し強めた概念である強K-安定性の下で,定スカラー曲率Kaehler計量の存在を導く具体的なプランを提示した論文「The Yau-Tian-Donaldson conjecture for general polarizations, I」が, Springer Proc. Math. Stat. の第154巻の"Geometry and Topology of Manifolds"という冊子に掲載された. (2) テスト配位のモジュライ空間のある種のプレコンパクト性を示した論文「An l-th root of a test configuration of exponent l」が,雑誌 Complex Manifolds の第3巻に掲載された. (3) extremal Kaehler計量をもつ偏極代数多様体の漸近Chow 相対安定性を示した論文「Asymptotic polybalanced kernels on extremal Kaehler manifolds」を発表した. これは「偏極代数多様体に対して強K-安定性と extremal Kaehler 計量の存在は同値であろう」というDonaldson-Tian-Yau予想のextremal Kaehler版の supporting evidenceを与える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Donaldson-Tian-Yau予想に関して,上記実績の (1), (2) が出版された結果,強K-安定性から定スカラー曲率Kaehler計量の存在を導く具体的なプランが得られたことになる,さらにテスト配位のモジュライ空間のある種のプレコンパクト性も得た.一方 (3) の「The Yau-Tian-Donaldson conjecture for general polarizations, I」(これは現在査読中)は,「偏極代数多様体に対して相対強K-安定性とextremal Kaehler計量の存在は同値であろう」というDonaldson-Tian-Yau予想の extremal Kaehler 版の supporting evidence を与えているので,Donaldson-Tian-Yau予想の一般偏極の場合や extremal Kaehler 版が肯定的に解決される準備が着々と整ってきている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究チームを中心として,前年度に引き続きDonaldson-Tian-Yau予想に関する勉強会を繰り返し開き,知見を深めるとともに問題を様々な角度から考察し,その発展的解決を系統的かつ強力に推進する計画である.一方で我々の研究を基礎から支える備品や消耗品 として,計算機ソフトや計算機関連の備品も購入する予定である. また来年度は科研費の最終年度であることもあって,金沢での複素幾何国際シンポジウムや,Pacific Rim Complex Geometry Conference,さらにはTrends in Modern Geometry 等の国際研究集会について組織・参加することによって,積極的に研究成果の発表を行い国際的なレビューを受けたい.
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Causes of Carryover |
平成29年度は,我々の研究課題と密接に関係する国際シンポジウム The 23rd Symposium on Complex Geometry を例年より大きな規模で金沢で開く予定であり,研究代表者はそのオーガナイザーともなっている.そのための経費を一部捻出するために,さかのぼって平成28年度の基金助成金使用を控えめにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の部分の使用計画としては,平成29年度に金沢で開く国際シンポジウム The 23rd Symposium on Complex Geometry の開催費用の一部に充てる予定である.
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Research Products
(3 results)