2015 Fiscal Year Annual Research Report
非線形分散型波動方程式の特異性の幾何学的構造と大域可解性の研究
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25287022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高岡 秀夫 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10322794)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非線形分散型 / 初期値問題 / 適切生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,非線形項に空間微分の作用を含む微分型非線形シュレディンガー方程式について,非線形共鳴場によるエネルギー転移が解のダイナミクスにどのような影響を及ぼし,どのような問題を生じるのかを研究した.ベキ乗タイプの非線形項構造に基づく非線形相互作用を源するエネルギー移動では,隣接せず離れたフーリエ成分の間で励起エネルギーが起こり,それは解の大域構造を特徴つける一つと云える.解の漸近挙動,安定性など大局的性質を調べる上で,これは重要な礎にもなり得る.このような観点に立ち,空間次元が2次元で3次の非線形項の場合の,並びに1次元で5次の非線形項の場合の非線形シュレディンガー方程式については解のダイナミクスについて先行した結果があった.いずれの方程式に対しても共通して,質量保存クラスが方程式の次元解析が臨界空間となっており,運動量保存が破れの理解ともなっていた.空間次元1次元の微分型シュレディンガー方程式についても上記方程式と同一の臨界クラスを持つ.非線形項における微分項を起因とする非線形共鳴場を厳密に抽出し,共鳴場のフーリエ成分に対する有限次元ハミルトン型のモデル方程式の解構造を解析し,それが周期構造を持つことを示した.さらに,それのモデル方程式が元の無限次元ハミルトン方程式である微分型シュレディンガー方程式を近似していることを証明した.これにより,微分型シュレディンガー方程式に対する周期的なエネルギー移送過程の存在証明を与えることに成功した.得られた結果はプレプリント「Energy transfer model for the derivative nonlinear Schrodinger equations on the torus」としてまとめ,学術雑誌に投稿した また,非線形分散型・波動方程式における非線形共鳴の解析法について,問題点の洗い出しを主目的としたワークショップ「波動セミナー」を2月に所属機関で開催した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題の完結には,長時間にわたり無限次元方程式の定性的性質を有限次元ハミルトン方程式で制御する必要があったが,関数不等式を用いた誤差評価式の精度は十分とはいえず,時間局所的な解析にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
共鳴エネルギー移送の構造の特性を,方程式の幾何学的観点から捉えて,調和解析的手法で精密かされた評価式から無限次元問題を制御する.連携研究者等の専門家とセミナーや研究集会で意見を交換し,問題点を浮き彫りにすることによって課題解決の糸口を探る.
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Causes of Carryover |
図書の選定と購入手続きに時間を要してしまったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月中に1冊の図書を購入した.残高は翌年度の図書整備費として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)