2014 Fiscal Year Annual Research Report
低金属度ガスのダイナミクスで解明する宇宙初期天体の起源
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25287040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大向 一行 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70390622)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宇宙初期天体 / 星形成 / 巨大ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)重元素が全くない環境で形成される宇宙初代星の形成過程に関して:これまでより宇宙論的シミュレーションの計算領域を大きくとることで、その内部に1000を超える初代星形成ハローを同定できた。その際に領域内の輻射場の影響も適切に取り入れた。これらハローの幾つかに対して、2次元軸対称の輻射流体計算を行うことで形成される星の質量を求めることに成功した。形成される星の質量はその母体となるハローの性質と相関していることが分かったので、この関係を用いて計算領域内に形成される星の質量分布を導出することができた。 また宇宙初期の星形成領域でも超新星残骸は多数存在し、そこで宇宙線が加速し、銀河間空間に拡散していくものと思われる。予想されている星形成率をもとにこの強度を見積もり、星形成の際の熱進化過程に対するこの影響を計算した。その結果、HD分子の冷却がこれまで考えられていた以上に重要になりえることが分かった。これは形成される星の質量を小さくする方向に働く。
(2)宇宙初期に形成されると思われる10万太陽質量を超える超大質量星形成過程について:外部輻射場により水素分子形成が完全に阻害されているような状況の星形成雲の進化を 3次元流体シミュレーションにより解析した。その結果、亜音速の乱流があるような状況でも激しい分裂は抑制され、ほぼ単一の塊として収縮していくことが分かった。これから最終的に超大質量星へと成長するものと予想される。またこのような水素分子形成が全く起こらない環境が実現されるために必要な輻射場の強度を現実的な銀河スペクトルを用いることで見積もった。その結果、これまで思われていた値よりも1桁ほど大きな値が必要であることが分かった。これは超大質量星の形成個数が1Gpc立方に一つ程度と極めて小さいものであることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画とほぼ同じスケジュールで研究が遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでほぼ当初の研究計画どおり研究を遂行出来ているので、今後も継続して当初計画のまま推進する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は関連学会が当初予想していたほどの回数が開催されず、また共同のための訪問も先方の都合により回数が予想よりも少なくなった。それにともなう未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者および研究協力者の学会参加および研究打ち合わせ旅費として平成27年度分に合わせて使用する予定である。
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Research Products
(12 results)