2013 Fiscal Year Annual Research Report
粒子・ジェット方位角相関測定によるグルーオン衝撃波の探索
Project/Area Number |
25287048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三明 康郎 筑波大学, 副学長 (10157422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江角 晋一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10323263)
中條 達也 筑波大学, 数理物質系, 講師 (70418622)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クォーク・グルーオンプラズマ / 高エネルギー重イオン衝突 / 方位角相関 |
Research Abstract |
本研究は欧州原子核研究機構 (CERN)の LHC 加速器による重イオン衝突によってクォーク・グルーオンプラズマ(QGP)を生成し、グルーオン衝撃波の探査ならびにQGP物性をALICE 実験 Dijet 測定装置 (DCAL) を用いて直接的に決定するものである。現在、DCAL は2015年初頭の物理データ収集を目指して建設の最終段階にある。2014年度では以下の研究活動を行った。(1)大学院生2名を CERN 研究所に2ヶ月間派遣し、DCAL に用いる新規読み出し装置の動作確認(4月~6月)、(2)大学院生5名、スタッフ1名によるインストール前の 全DCAL スーパーモジュールの動作確認(9月)、(3)ユバスキラ大学と共同で DCAL 用のジェット、光子トリガーの構築(大学院生1名、スタッフ1名をフィンランド・ユバスキラ大に2週間派遣、12月)。これまでのところ、約半数のDCAL のインストールが終了し、予定通りに作業が進んでいる。残り半数は2014年11月に実験エリアへのインストールが完了する。 一方、既存のデータを用いた物理解析においては、大学院生1名(筑波大学、博士後期課程1年)を CERN に長期派遣し、LPSC研究所(仏)の 研究員と共同で高横運動量中性パイ中間子をトリガーとしたジェット相関測定を、陽子・陽子衝突系(重心衝突系エネルギー7 TeV) について行った。その成果を2014年5月に開催される「クォーク物質2014 国際会議(ドイツ)」に発表すべく、現在準備中である。また荷電粒子のみを使ったダイジェット測定とそれに伴って生成される低横運動量ハドロンについての研究も行い(筑波大学・2013年度修士論文)、2013年9月、日本物理学会にてその途中経過を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dijet 測定装置 (DCAL) の建設とインストール作業、運転準備は順調に進行している。また我々の研究グループは、2013年度より DCAL / EMCAL によるジェット・光子トリガーの構築に全面的に参画した。これは2015年以降の LHC加速器物理運転 (LHC Run-2) における稀少トリガーデータ収集に大きな威力を発揮することが期待されており、我々の ALICE 実験での貢献度を大きく高めている。既存データを使った物理解析も順調であり、国内外の学会で成果を発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は DCAL 設置の最終年度にあたる。残り半数の DCAL の設置を完了させ、全システムを統合させた運用試験の実施し、2015年初めに予定されている陽子-陽子衝突 14 TeV でのデータ収集に備える。まず7月~8月にかけて大学院生を2名CERN 研究所に派遣し、DCAL/EMCAL を用いた光子・ジェットトリガー系の構築を行う。ユバスキラ大学(フィンランド)と共同で、これまで筑波大においてシミュレーションによって開発してきた FPGA トリガーコードを、トリガーボード(実機)にインストールし、運用テストを行う。さらに PHOS 検出器(別の電磁カロリメータ検出器)と DCAL を組み合わせたジェットトリガー構築にも取り組む。並行して既にインストールされている約半数の DCAL モジュールの運用テストを7月より開始する。10月頃には残り半数の DCAL のインストール、および運用テストを行い、12月までに全システムの運用テストを完了させ、2015年からDCAL での物理測定を開始する。 同時に既存データを用いた解析では、1)中性パイ中間子-ジェット相関測定 (陽子-陽子、鉛-鉛衝突)、2)ダイジェット相関とソフトハドロン生成、3)直接光子識別方法の確立、4)ジェット生成の反応平面依存性の測定、等を進める。これらの研究課題は DCAL を用いた測定において特に重要な研究課題であり、我々が先行して研究をすすめ、国内外の学会、誌上にてその成果を発表する。
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Research Products
(42 results)