2013 Fiscal Year Annual Research Report
原子核の低エネルギー集団励起と核融合・核分裂機構の解明
Project/Area Number |
25287065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中務 孝 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 准主任研究員 (40333786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 賢市 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00567547)
市川 隆敏 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (00370354)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 時間依存密度汎関数理論 / 線形応答 / 大振幅集団運動 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成25年度においては、時間依存密度汎関数理論に基づく線形応答計算と2次元ハートレー・フォック・ボゴリューボフ(HFB)計算コード開発において進展を得ることができた。 まず、線形応答計算では、低エネルギーの電気双極子強度関数計算を系統的に行い、不安定核における観測から中性子物質や核物質の状態方程式にどれだけ強い拘束を付けることができるかを調査した。その結果、安定線から遠くはなれた中性子過剰核における観測が状態方程式に強い制限を与えることが分かった。また、スピン・アイソスピン応答関数の計算のコード開発に成功した。これらの成果は、本研究課題の研究代表者(中務孝)および研究分担者(吉田賢市)を中心に実行した研究であり、大振幅集団運動の質量パラメータ計算において重要な寄与をなす発展である。 また、我々が過去に開発した2次元HFB計算のプログラムでは、数値的不安定性があり、原子核が大きく変形した領域における計算がうまくいかないという欠点があった。この原因を調査した結果、収束を早めるために使っていたmodified Broyden法の中に問題があることが分かった。これを改善し、現在は変形の大きさに関わらず安定して収束解を得ることができるようになった。この成果は、本研究課題の科研費により雇用したポスドク研究者(下山裕考)および吉田(研究分担者)を中心に行った。 また、原子核に特徴的なアイソバリック・アナログ状態を記述できる陽子・中性子混合密度汎関数理論の構築および数値計算コード開発を実行した。中務を中心とする理研のグループがワルシャワ大学のDobaczewski氏と共同して、汎用コードとして良く知られているHFODDにこれを組み込むことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HFB計算の数値的不安定性が解決したため、核変形に伴うポテンシャル・エネルギーの計算は可能になっている。この分については順調に進んでいる。一方で、実時間発展の計算は、大規模並列化による性能向上が思った程上がっていない等、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次の課題は、核分裂等を記述する上で必要となる質量パラメータ計算であり、このために必要な開発を進める。実時間計算では、並列化性能向上に向け努力し、核分裂・融合等に向けた応用を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
支援員雇用の人件費一部と旅費支払いの一部が4月支払いとなったため。また、参加予定のシンポジウムに所用で参加できなかった。 4月支払い分は、繰り越し金をそのまま利用。また、昨年の成果発表の旅費としても利用する予定。
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Research Products
(16 results)