2014 Fiscal Year Annual Research Report
原子核の低エネルギー集団励起と核融合・核分裂機構の解明
Project/Area Number |
25287065
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中務 孝 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40333786)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 隆敏 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (00370354)
吉田 賢市 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00567547)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 理論核物理 / 大振幅集団運動 / 線形応答計算 / 時間依存密度汎関数理論 / 国際情報交換(米国) |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、集団運動を支配する集団質量の自己無撞着な計算を目指したプロジェクトに取り組んだ。通常のクランキング処方では取り入れることができないTime-odd効果を取り入れた乱雑位相近似(RPA)による評価を目指している。2014年8月からPD研究員を雇用し、本格的に取り組むことができた。これまでに、BKN相互作用に対して、ポテンシャルの評価に加えて集団質量の計算を行う計算コードの開発を進め、有限振幅法を用いたRPA計算を拘束条件付き平均場状態の上で行うことが可能になった。この成果をもとに、来年度は具体的な成果を目指す。また、線形応答計算においては、陽子・中性子間の相関と対相関を自己無撞着に取り入れた計算を実施し、いくつかのN=Zの核において、アイソスカラー型の対凝縮の前駆現象として、T=0対振動状態が低い励起エネルギー状態にソフトモードとして現れれるという結果を得た。 核分裂現象に対する現象論的ハミルトニアンを用いたマクロ・ミクロ法と呼ばれるアプローチでは、米国の研究者との共同研究を通して、大規模な数値計算によって系統的な計算結果を得ることができた。核変形を表す5次元空間の中でエネルギーを計算し核分裂障壁を求めた。この数値計算を170<Aの重い原子核すべてに対して実行した。さらに、この5次元ポテンシャル面をもとに、核分裂の際に減衰が強いとした近似計算で、実験で観測されている核分裂片の荷電数が偶数か奇数かによって現れるジグザグな構造が、ネック形成時の励起エネルギーの違いで理解できる可能性を示唆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に雇用した研究員が去り、新しい研究員が着任するまでブランクがあったが、その後は順調に研究が進んでいる。当初考えていたスケジュールに近いレベルに戻しつつあると思う。実時間計算についても、並列効率の向上をはかりつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果をもとにいっそうの発展を目指す。特に世界でまだ誰も成し得ていない集団質量の自己無撞着な評価に向けた開発を強力に推進する。課題としては、大規模な数値計算が必要となるため、スパコンの利用が必須となるが、これに関しても筑波大の計算科学研究センターにおける学際共同利用申請を通してめどがついている。
|
Causes of Carryover |
4月でPD研究員の交代があり、雇用をスタートしたのが8月にずれ込んだため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、現在雇用中の研究員に加えて、一時的に2人を雇用して研究を加速させる予定。
|
Research Products
(21 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 原子核密度汎関数理論2014
Author(s)
中務孝
Organizer
サマースクール「クォークから超新星爆発まで」
Place of Presentation
京都、日本
Year and Date
2014-07-22 – 2014-07-26
Invited
-
-
-
-
-