2015 Fiscal Year Annual Research Report
原子核の低エネルギー集団励起と核融合・核分裂機構の解明
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25287065
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中務 孝 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40333786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 隆敏 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (00370354)
吉田 賢市 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00567547)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 時間依存密度汎関数理論 / 核分裂反応 / 核融合反応 / 対相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、断熱型自己無撞着集団座標法(ASCC法)に基づいた理論手法の開発に大きな進展があった。拘束条件を自己無撞着に決定し、拘束条件付きハートレーフォック法によって集団部分空間を抽出するという当初の目的を、BKN汎関数と呼ばれるスピン軌道相互作用を無視した比較的簡単なエネルギー密度汎関数に対して実行することに初めて成功した。実空間表示の有限振幅法を用いた計算プログラムを開発した。まず、ベリリウム8の原子核がその基底状態から2つのα粒子に分解する反応経路を自己無撞着に決定することに適用し、反応経路およびそのダイナミクスを支配する集団質量パラメータを決定した。集団質量は、α粒子2つに分解して遠方に離れていく極限において、通常の換算質量に一致することも確認できた。このASCC法では反応経路を完全微視的に、ダイナミクスに基づいて非経験的な決定ができる。現在、この手法をより重い領域に適用を開始しており、酸素16が炭素12とα粒子に分かれる分裂経路の計算を実施している。 実時間発展計算においては、核融合反応のシミュレーションを行い、特に超流動原子核の衝突における初期状態の相対ゲージ角依存性を調査した。正準基底時間依存ハートレー・フォック・ボゴリューボフ法による計算では、依存性は比較的小さく、どの場合も対相関が核融合確率をわずかながら小さくする効果があることがほぼ確実になってきている。 核構造計算においては、対相関問題の厳密解があるRichardson模型を用いて、時間依存密度汎関数理論の再量子化の妥当性を調べた。対相関が弱い場合、強い場合、中間強度の場合のどれにおいても厳密解の良い近似として使えることが分かった。また、励起状態の0+状態においても対回転的スペクトルが生み出されることを見いだし、その出現機構を準古典的な解析によって明らかにすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
建物の耐震改修によって研究室のメンバーがバラバラになってしまったことと、ネットワーク環境の変化によって一部のソフト・プログラムに不具合が生じたが、それらを除けばおおむね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、平成27年度に得られた成果のまとめと、ASCC法のさらに大きな系への適用を中心に実行することを考えている。まずは既に開発済みの計算コードを用いた成果とそのまとめ、次に、対相関を取り入れる開発に向けた検討を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年7月、本研究を実施している研究施設が耐震改修工事のため、研究室を丸ごと移転させる必要が生じた。移転先において、計算サーバ等を仮設置した場所において、電源・ネットワークの整備・変更に手間取ったため研究計画に一部遅れが発生した。また、成果発表を予定していた海外での会議が気候等の理由で延期された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究のまとめを中心に執り行い、計算結果のまとめと論文執筆、成果発表を順次行って行く。このための研究員雇用と旅費に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] Splitting of ISGMR strength in the light-mass nucleus 24Mg due to ground-state deformation2015
Author(s)
Y. K. Gupta, U. Garg, J. T. Matta, D. Patel, T. Peach, J. Hoffman, K. Yoshida, M. Itoh, M. Fujiwara, K. Hara, H. Hashimoto, K. Nakanishi, M. Yosoi, H. Sakaguchi, S. Terashima, S. Kishi, T. Murakami, M. Uchida, Y. Yasuda, H. Akimune, T. Kawabata, and M. N. Harakeh
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Journal Title
Physics Letters B
Volume: 748
Pages: 343-346
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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