2013 Fiscal Year Annual Research Report
STEM-CBED法による強誘電体の分極ナノドメインの構造解析・分極マッピング
Project/Area Number |
25287068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津田 健治 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (00241274)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 収束電子回折 / STEM-CBED法 / 誘電体物性 / 分極マッピング |
Research Abstract |
収束電子回折 (Convergent-beam electron diffraction: CBED) 法と走査透過電子顕微鏡 (Scanning transmission electron microscopy: STEM) 法を組み合わせて,格子歪み・分極・静電ポテンシャルの局所変化を2次元分布として計測できる新たな手法 (STEM-CBED法) を開発し,現有のエネルギーフィルター透過電子顕微鏡JEM-2010FEF上で実際に動作させることに成功した. この手法を用いて,典型的な強誘電体であるチタン酸バリウム (BaTiO3) の強誘電正方晶相の観察を行い,局所構造および分極が空間的に揺らいでいる様子を可視化した.その結果,チタン酸バリウムの正方晶相の局所構造は,平均構造とは異なる菱面体晶相の対称性を持っており,その局所構造の揺らぎのスケールはナノメーター程度で,分極の方向がそろったナノサイズのクラスター (分極クラスター) を形成していることを明らかにした.これは,構造相転移が単なる変位型ではなく秩序・無秩序性を持っていることを示している.より定量的な議論のために,第一原理分子動力学計算を援用して局所構造・分極揺らぎのモデルを構築し, CBED図形の動力学回折理論によるシミュレーションを行う準備を進めている. また,別の典型的な強誘電体であるチタン酸鉛 (PbTiO3) の強誘電正方晶相において,チタン酸バリウムと対照的に,局所構造が平均構造と同じ正方晶相をとることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べたように,STEM-CBED法を現有のエネルギーフィルター透過電子顕微鏡JEM-2010FEF上で実際に動作させることに成功し,チタン酸バリウム強誘電正方晶相の局所構造・分極のナノスケールの揺らぎを可視化することに成功した.この結果はAppl. Phys. Lett. に掲載された (Kenji Tsuda, Akira Yasuhara, and Michiyoshi Tanaka, "Two-dimensional mapping of polarizations of rhombohedral nanostructures in the tetragonal phase of BaTiO3 by the combined use of the scanning transmission electron microscopy and convergent-beam electron diffraction methods", Appl. Phys. Lett. 103, 082908-1-4 (2013)).さらにSTEM-CBED法を広く適用できる段階に達している.
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Strategy for Future Research Activity |
STEM-CBED法を適用して,チタン酸バリウムの構造相転移近傍での局所構造・分極揺らぎの温度依存性,90°および180°ドメイン壁近傍での局所構造・分極揺らぎについて調べる.さらに,ヘテロ強誘電体界面やナノキューブなどの新奇強誘電体への適用を試みる.第一原理分子動力学計算を援用して局所構造揺らぎのモデルを構築し,動力学回折強度計算によるCBED図形のシミュレーションを行って,実験と比較を行う.
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Research Products
(7 results)