2014 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体メタマテリアルによるテラヘルツ電磁波の制御
| Project/Area Number |
25287072
|
|---|
| Research Institution | Shinshu University |
|---|
Principal Investigator |
武田 三男 信州大学, 理学部, 教授 (20115653)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮丸 文章 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (20419005)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | メタマテリアル / 強誘電体 / ソフトフフォノン / 群速度異常モード / フォノンポラリトン分散関係 / テラヘルツ時間領域分光 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
強誘電体の平行平板を積層してフォトニック結晶を作製しフォノン・ポラリトンとのハイブリッド分散関係を出現させる。群速度異常モードの解析を行いテラヘルツ時間領域分光による実験結果と比較検討する。次に、強誘電体の表面に金属製リング・アレイを蒸着して３次元メタマテリアル試料を作製する。さらに、レンズ効果制御の可能性を探る。
本年度は、昨年度に引続き以下のサブテーマ、①フォノン・ポラリトン分散関係及び複素誘電関数の決定とハイブリッド分散関係の数値解析、②強誘電体フォトニックの作製と群速度異常モードの確認、および③群速度異常モードの局在機構の解明を実施した。さらに、④強誘電体フォトニック結晶における温度変化によるバンド構造の制御と群速度異常モードの伝播特性の制御と、⑤負の透磁率の実現と負の屈折率によるレンズ効果の実証、ならびに⑥ 強誘電体メタマテリアルにおける温度変化によるバンド構造の制御と群速度異常モードの伝播特性の制御を試みた。
①、②および③については計画通り実施できた。テラヘルツ時間領域分光システムにより、強誘電体の透過振幅および位相スペクトルから、複素誘電関数とフォノンポラリトン分散関係を決定した。次に、これらの光学パラメーターを用いて、FDTD数値解析により、強誘電体平行平板を周期的に並べて構築されたフォトニック結晶の分散関係（ハイブリッドバンド）を得ることができた。さらに、FDTD数値解析によりバンドギャップ端に出現する群速度異常モードの電場空間分布を決定できた。
④と⑥については強誘電体の候補としていたLGOのソフトフォノンの緩和定数が大きく位相スペクトルからテラヘルツ電磁場の分散関係を正確に決定することが困難なことが判明した。このため、他の強誘電体を探索中である。⑤については強誘電体表面に金属薄膜の蒸着およびスプリットリングの形成のための条件を割り出し中である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フォノンポラリトンとフォトニック結晶によるハイブリッド分散関係の実現についてはFDTD数値解析により確認したが、実際の強誘電体基板を用いた実証実験結果を得るには至っていない。
また、スプリットリングを蒸着しての強誘電体メタマテリアルの作製とそれを用いた負の屈折率特有の現象の実験も達成できていない。
|
| Strategy for Future Research Activity |
平成27年度が本研究課題の最終年度であるため、強誘電体メタマテリアルの作製とそれを用いた負の屈折率特有の現象の実証実験を実施する。このため、強誘電体の種類を再検討する必要がある。これまでの、Li2Ge7O15とBi4Ti3O12に加えてSr2Ta2O7について検討する。また、蒸着金属の種類と膜厚、並びにスプリットリングの形状を精査し、それらの材質の光学パラメーター等を用いてFDTD数値解析により電磁波伝播特性を確認する。
数値解析の結果を基に、強誘電体メタマテリアルを作製し、負の屈折の実証実験を実施する。このためには、誘電率が負となる極性フォノンの縦振動数（ωLO）近傍の透過率が決めてとなるため、強誘電体の種類と平行平板にした場合の強誘電体基板の厚さが重要となる。FDTD数値解析により最適値を決定し、強誘電体メタマテリアル試料を作製する。
この伝搬特性を検証するためには、角度依存性測定用のテラヘルツ時間領域分光装置が不可欠であるため、この測定システムを組み上げ、透過電磁波の角度依存性を測定し、負の屈折率特有の伝播特性を検証する。
|
| Causes of Carryover |
本年度中に購入予定の光学部品（回転ステージ）仕様の決定が遅れ、発注が間に合わなかったためである。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
回転ステージについては次年度の早い時期にその仕様を決定し発注する。その他の経費については、当初計画通り使用する。
|
Research Products
(2 results)
