2015 Fiscal Year Annual Research Report
高移動度を示す有機トランジスター中のキャリアの電子状態とダイナミクス
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25287073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 新一 公益財団法人名古屋産業科学研究所, その他部局等, 研究員 (20291403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 久暁 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50362273)
下位 幸弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究チーム長 (70357226)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 電界効果デバイス / 非線形素励起 / 電子スピン共鳴 / 理論計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、高移動度有機半導体を用いた薄膜トランジスタ(TFT)のESR観測をさらにすすめ、特にイオン液体ゲートトランジスタ構造を用いて、高分子材料への高効率キャリア注入下でのESR観測に成功し、以下の結果を得た。 1.結晶性の高い高移動度高分子材料PBTTTのイオン液体TFTのESRでは、ドーピングに伴う電子状態の顕著な変化が明らかとなった。ESRによるスピン濃度と、素子の充電電流による電荷濃度との比較(スピン・電荷関係)から、キャリア濃度を増すと、スピンと電荷を共に持つポーラロンから、スピンを持たないバイポーラロンへ変化することが示され、光吸収スペクトルの変化からも裏付けられた。さらにキャリア濃度を増すとESR線幅が顕著に増加し角度依存性や温度依存性が伝導電子のスピン緩和(エリオット機構)を示すとともに、スピン磁化率の温度依存性からは金属相に特有なパウリ磁化率が観測され、高濃度のキャリア注入によるPBTTTの金属化が明瞭に示された。同様な金属転移は、化学ドーピング法でもすでに報告しているが、最近、F4-TCNQをアクセプタとした高ドープPBTTTについても、ケンブリッジ大との共同研究で明らかにしている。 2. 電界発光性高分子として注目されるF8T2のイオン液体TFTを作製し、正・負キャリアの高効率注入とESR観測を行った。その結果固体ゲート絶縁膜では見られなかった負キャリアのESR信号が明瞭に観測された。負キャリアの信号は正キャリアに比べて顕著なgシフトを示し、負キャリアの波動関数がF8T2の硫黄原子上に大きなスピン密度を持つためであることが、g値やキャリア波動関数のDFT計算から明らかになった。 これまでの研究から、高移動度材料のキャリアダイナミクスや、キャリア注入による電子状態制御の可能性がミクロに示され、高移動度分子材料の今後の発展への展望が得られた。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Two-Dimensional Coherent Charge Transport in Highly Ordered Conducting Polymers Doped by Solid State Diffusion2016
Author(s)
K. Kang, S. Watanabe, K. Broch, A. Sepe, A. Brown, I. Nasrallah, M. Nikolka, Z. Fei, M. Heeney, D. Matsumoto, K. Marumoto, H. Tanaka, S. Kuroda, and H. Sirringhaus
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Journal Title
Nature Mater.
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Optically visible phase separation between Mott-Hubbard and charge-density-wave domains in a Pd-Br chain complex2016
Author(s)
T. Yoshida, S. Takaishi, H. Iguchi, H. Okamoto, H. Tanaka, S. Kuroda, Y. Hosomi, S. Yoshida, H. Shigekawa, T. Kojima, H. Ohtsu, M. Kawano, B. K. Breedlove, L. Gué rin, and M. Yamashita
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Journal Title
ChemistrySelect
Volume: 2
Pages: 259-263
DOI
Peer Reviewed
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