2014 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能角度分解光電子分光によるディラック電子系における微細電子構造の解明
Project/Area Number |
25287079
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 宇史 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10361065)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 鉄系超伝導体 / ディラックコーン / スピン偏極 / フェルミ面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ディラック電子系の電子状態を明らかにするために、昨年度に引き続きスピン分解光電子分光装置の改良・調整を行った。とりわけ、スピン検出の際に電子を振り分ける電子偏向器と鉄薄膜ターゲットまでのレンズ電圧調整などを種々の電子パスエネルギーで行い、鉄薄膜ターゲットからの高い反射強度を得る事に成功した。 また、装置の建設改良と並行して、いくつかのディラック電子系の電子状態の決定を行った。FeSe超伝導体の低温秩序相における高分解能ARPESでは、ブリルアンゾーンの端付近において顕著なバンド分裂を観測し、高温常伝導相ではこの分裂が消失することを見出した。さらに、ブリルアンゾーンの中心においても、相転移に関連したバンドのエネルギーシフトを観測した。この事から、FeSeの低温秩序相は、電子ネマティック相に起源を持つと結論した。また、SiCに単層グラフェンを成長し、その表面に酸素分子を吸着してその電子構造を高分解能ARPESによって調べた。その結果、酸素量の増加に伴ってディラック点のエネルギーが変化するとともに、バンドギャップが増大する様子を明確に観測した。この実験事実から、単層グラフェンにおけるディラック電子の質量獲得には酸素吸着が有効であると結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピン分解光電子分光装置の建設・改良においては、ターゲットからの高い反射強度を得る事に成功したが、高真空中におけるターゲットの寿命を延ばすために、今後更に真空系を改良するなどの工夫が必要である。グラフェンなどのディラック電子系においては、その電子状態とディラック電子の質量制御にしたことから、当初の予定通りの成果が得られたと思われる。また、鉄系超伝導体母物質やトポロジカル絶縁体においても、フェルミ準位近傍の電子状態の精密決定に成功しており、研究はおおおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、スピン分解光電子分光装置の更なる調整を行い、その装置と高輝度放射光を併用して、ディラック電子系の微細電子構造を高精度で決定するスピン分解ARPES実験を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
スピン分解ARPES装置の開発に必要な真空部品や試料基板などの設計・製作に当初予定からの変更が生じたため、次年度に調達する事とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
真空物品や試料基板などの消耗品に使用する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Evolution from incoherent to coherent electronic states and its implications to superconductivity in FeTe1-xSex2014
Author(s)
E. Ieki, K. Nakayama, Y. Miyata, T. Sato, H. Miao, N. Xu, X.-P. Wang, P. Zhang, T. Qian, P. Richard, Z.-J. Xu, J. S. Wen, G. D. Gu, H. Q. Luo, H.-H. Wen, H. Ding, and T. Takahashi
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 89
Pages: 140506(1-5)
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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