2013 Fiscal Year Annual Research Report
強相関分子性導体の階層的電荷・スピン・格子ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
25287080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20241565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 敏 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50431789)
橋本 顕一郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00634982)
松浦 直人 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, 東海事業センター, 副主任研究員 (30376652)
河村 聖子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 任期付研究員 (70360518)
米山 直樹 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (80312643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子性導体 / 強相関系 / 誘電体 / 光物性 |
Research Abstract |
平成25年度は,以下の項目について各分担者とともに本課題を実施し,各項目に示す結果・成果が得られた. [1]分子ダイマー系分子性導体の単結晶育成,周辺物質探索において新たなダイマーモット絶縁体・電荷秩序絶縁体物質(BPDT-TTF)2X系の合成に成功し,ダイマーモット状態と電荷秩序状態の相関を研究する対象物質を得ることができた.(分担者米山,橋本) [2] 電荷秩序系有機物質(BEDT-TTF)2CsZn(SCN)4の電荷ガラス状態における特異な赤外光学応答の観測から,特有の電荷秩序パターンを有するガラス状態のコレクティブモーションを示唆する結果が得られた.このモードが現れるエネルギーは,他の電荷ダイナミクスが不安定・不均質なふるまいを示す物質群に共通にみられるため,ダイマーモット系に特有の電荷ガラスダイナミクスが存在することを示している.(分担者 橋本) [3] 1次元的な構造を有する(TTM-TTP)X系において,特徴的なTTM-TTP分子のフラグメント構造に起因する分子内電荷不均化による誘電異常を発見した.この誘電異常は分子内電荷自由度がスピン,格子の自由度と結合した結果生じる大きな分子内電荷ゆらぎの発達を起源とするものであることが分かった.(分担者 井口) [4]複合的な電荷-格子-スピン自由度の結合を非弾性中性子散乱により明らかにするために,電荷秩序系(BEDT-TTF)2CsZn(SCN)の試料準備,試料ホルダーの整備を行った.(分担者 河村,松浦) また,1個の単結晶での中性子回折実験を海外熱中性子炉の利用により高精度に行うために海外研究機関との調整,試料準備を行い次年度に4軸回折実験を行う目途をつけることができた.これらの成果のうち[2]は論文で,他は口頭発表などで成果発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画では,分子性導体に特徴的な階層的な電荷-スピン-格子ダイナミクスの発見解明を目指しているが,これの達成に必要な,新たな物質,新たな実験手法への挑戦(中性子実験)ともに順調に準備が進んでいる.一部はすでに論文化(電荷ガラスのコレクティブモーションの観測)できるなど,一定の成果が得られいる.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題での複合的な電子系ダイナミクスの研究を発展させるためには,非平衡,非定常状態での空間,時間的に動的な変化を追う試みが必要である.このために非平衡下(高電場印加)状態での光応答や動的ノイズ測定などの研究を実施するための準備が必要であると考えている. このため,海外研究協力者(ドイツ)との技術協力を進める予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことにより発生したものである. この未使用額については平成26年度の請求額と合わせて平成26年度の研究遂行において使用する予定である.
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Research Products
(11 results)