2014 Fiscal Year Annual Research Report
強相関分子性導体の階層的電荷・スピン・格子ダイナミクスの研究
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25287080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20241565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 顕一郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00634982)
松浦 直人 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, 東海事業センター, 副主任研究員 (30376652)
井口 敏 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50431789)
河村 聖子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 任期付研究員 (70360518)
米山 直樹 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80312643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子性導体 / 強相関系 / 誘電体 / 光物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,以下の項目について各分担者とともに本課題を実施し,各項目に示す結果・成果が得られた. 1. 分子ダイマー系分子性導体の単結晶育成,周辺物質探索においてH25年度に見出した新たなダイマーモット絶縁体・電荷秩序絶縁体物質(BPDT-TTF)2X系の赤外分光,電気抵抗,磁化測定を行い,ダイマーモット状態と電荷秩序状態が競合する状態の特異性を明らかにした.(分担者米山,橋本) 2. 1次元ダイマーモット絶縁体に高圧力を印加することでモット絶縁体状態から電荷秩序状態への変遷過程をダイアモンドアンビルセルを利用した放射光赤外分光実験により明らかにし,超伝導発現と電荷ゆらぎの相関に関する知見を得た.(分担者 橋本) 3. 1次元的な構造を有する(TTM-TTP)X系において,特徴的なTTM-TTP分子のフラグメント構造に起因する分子内電荷不均化による誘電異常を発見した.この誘電異常は分子内電荷自由度がスピン,格子の自由度と結合した結果生じる大きな分子内電荷ゆらぎの発達を起 源とするものであることが分かった.(分担者 井口) 4. 複合的な電荷-格子-スピン自由度の結合を非弾性中性子散乱により明らかにするために,ダイマーモット絶縁体k-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Clの中性子実験をフランスグルノーブルの大型中性子施設で行った.(分担者 河村,松浦) これらの成果のうち[2]は論文投稿中,[3]は論文発表として,他は口頭発表などで成果発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画では,分子性導体に特徴的な階層的な電荷-スピン-格子ダイナミクスの発見解明を目指しているが,これの達成に必要な,新たな物質の開発とその基礎物性評価,新たな実験手法への挑戦(中性子実験,ノイズ測定)ともに順調に準備が進んでいる.一部はすでに論文化(電荷ガラスのコレクティブモーションの観測)また投稿中など,一定の成果が得られいる.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題での複合的な電子系ダイナミクスの研究を発展させるためには,非平衡,非定常状態での空間,時間的に動的な変化を追う試みが必要である.このために非平衡下(高電場印加)状態での光応答や動的ノイズ測定などの研究を実施するための準備が必要であると 考えている.また非平衡下での空間状態分布の測定を放射光を用いて行う準備を進めている.このため,海外研究協力者(ドイツ)との技術協力を進める計画をH27年度に予定している.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことにより発生したものである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この未使用額については平成27年度の請求額と合わせて平成27年度の研究遂行において使用する予定である.
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[Journal Article] Optical freezing of charge motion in an organic conductor.2014
Author(s)
T. Ishikawa, Y. Sagae, Y. Naitoh, Y. Kawakami, H. Itoh, K. Yamamoto, K. Yakushi, H. Kishida, T. Sasaki, S. Ishihara, Y. Tanaka,K. Yonemitsu and S. Iwai
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 5
Pages: 5528-1-6
DOI
Peer Reviewed
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