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2013 Fiscal Year Annual Research Report

光ポンピングと超偏極ラベリングによる表面敏感NMR法の開発

Research Project

Project/Area Number 25287092
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Research InstitutionNational Institute for Materials Science

Principal Investigator

後藤 敦  独立行政法人物質・材料研究機構, 極限計測ユニット, 主幹研究員 (30354369)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords磁気共鳴 / 動的核偏極 / 光物性
Research Abstract

本研究の目的は、表面敏感な核磁気共鳴法を実現するための技術開発である。この目的を達成するため、本研究では、半導体の光ポンピング核磁気共鳴技術と固体界面での核磁化転写技術を組み合わせた「超偏極ラベリング技術」を開発する。その実現には、低温で安定的に働く光ポンピング核磁気多重共鳴装置の開発が鍵となる。そこで、本年度は、我々がこれまでに開発した装置を基に、本目的に適した試料ステージとそのマウント機構の開発を行った。
本システムでは、試料の冷却に冷凍機を用いた伝導冷却方式を採用している。そのため、冷媒としてのヘリウムガスをクライオスタット内に導入する必要がなく、低温での核磁気共鳴測定でしばしば問題となる高周波放電を抑制することが可能である。その一方、光照射による試料の昇温を抑制するための冷却経路の確保が重要となる。そこで、本システムでは、ステージの材質に熱伝導性と絶縁性を併せ持つサファイアを使用し、形状を平型とすることで光照射面と冷熱源との熱接触面を確保した。さらに、プローブ先端部にあるヒートアンカー部にステージを直接マウントすることで試料からの排熱路を確保した。
このような仕様で試作した試料ステージに対して、実際に試料を装着して冷却実験を行い、その性能を確認した。具体的には、ステージ上にアルミニウム薄膜を取り付け、冷却した状態で50Kおきに27Alのスピン-格子緩和時間を測定して正確な試料温度を決定し、ヒートアンカー部に取り付けた温度計の温度と比較した。その結果、緩和時間から評価した試料温度が温度計の温度とほぼ一致し、熱伝導による試料冷却が機能していることが確認された。また、これらの測定で使用された高周波パルスには放電による影響が認められず、高周波放電が十分に抑制されていることが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成25年度は、研究計画に従い試料冷却機構の開発を進めたが、設計やその評価方法について試行錯誤があり時間を費やした。また、当初予定した砒化ガリウム系の測定を進めるに当たり、その参照物質としてアンドープの砒化ガリウムでの核磁気共鳴測定を行ったところ、低温で71Gaの共鳴線幅が増大する事象が観測されたため、その後の予定を変更してその原因究明を行った。複数の試料片で同様の測定を繰り返したところ、この現象は試料によらずまれに発生すること、線幅の原因は核四重極相互作用によることが判明し、試料の取り付け状況との関連性が示唆された。本調査は当初の計画外ではあったが、結果的に本研究を推進する上で重要な知見が得られた。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度は以下の予定で開発を進める。まず、前年度に開始した試料ステージとそのマウント機構の開発を継続して行う。これまでに試料ステージを設計・試作し、実際にプローブにマウントして冷却性能や低温での高周波放電の抑制機能を確認した。本年度は、この試作ステージをもとに光照射下での機能の実現を目指す。次に、固体界面での偏極転写の実現に向けた技術開発を進める。具体的には、砒化ガリウム系の積層構造を用い、界面での核スピンの偏極転写の条件を調査するとともに、半導体内部での核スピン拡散の振る舞いについて調査する。これらの測定を通して、本手法の原理の実証と最適化のための条件の探査を進める。さらに、翌年度以降の研究に向けて、光照射と核磁気共鳴用の高周波パルスのタイミングを一体制御するための装置と手法の開発にも着手する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初計画では、本研究の目的にカスタマイズした全く新規のプローブの開発を予定していたが、再検討の結果、試料マウント機構の開発を優先するために以前開発した既存のプローブを活用することとしたため。
前年度より継続する試料マウント機構の開発等、および、今年度に予定している光-高周波の一体制御システムの開発費の一部に充当する予定。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 2013

All Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 光ポンピング法を基礎とした新規NMR技術の開発2014

    • Author(s)
      後藤 敦、端健二郎、大木 忍、清水 禎
    • Organizer
      共用・計測 合同シンポジウム2014
    • Place of Presentation
      物質・材料研究機構
    • Year and Date
      20140314-20140314
  • [Presentation] Optical pumping NMR: dynamic nuclear polarization for semiconductors2014

    • Author(s)
      Atsushi Goto, Tadashi Shimizu, Kenjiro Hashi and Shinobu Ohki
    • Organizer
      NSC(Taiwan)-NIMS workshop: new opportunities of advanced metrology
    • Place of Presentation
      National Institute for Materials Science
    • Year and Date
      20140227-20140228
    • Invited
  • [Presentation] 光ポンピング法を基礎とした新規NMR技術の開発2013

    • Author(s)
      後藤 敦、端健二郎、大木 忍、清水 禎
    • Organizer
      日本物理学会2013年秋季大会
    • Place of Presentation
      徳島大学常三島キャンパス
    • Year and Date
      20130925-20130928

URL: 

Published: 2015-05-28  

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