2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25287108
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
深尾 浩次 立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜厚依存性 / 高分子薄膜 / ポリアミド共重合体 / 電極分極 / 液晶 / イオン液晶 / 誘電緩和測定 / 中性子反射率測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の本研究の成果概要は以下のとおりである。
1. 平成25,26年度に研究を行った非晶性ポリアミド共重合体に関して、これまでの試料とは鎖長の異なるPA10,6とPA10,Iの共重合体を用いて、薄膜を作成し、電極分極およびα過程のダイナミクスを誘電緩和測定により調べた。その結果、膜厚の低下とともに、ガラス転移温度の低下とフラジリティの増大は観測されたが、charge carrierの拡散係数のintrinsic な増大は観測できなかった。つまり、拡散係数の鎖長依存性はPA66/6Iとは異なっており、鎖長依存性の存在が結論できた。現在、より詳細な解析を進めており、今後のさらなる研究の展開が期待される。
2.ポリアミド系高分子で観測される電極分極の性質をより明確にするために、イオン液晶と典型的な液晶性物質に対する誘電緩和測定を行った。イオン液晶として、イミダゾリウム系のイオン液晶で、1-methyl-3-alkylimidazolium tetrafluoroborate [Cnmim]BF4を用い、典型的な液晶としては、N-(4-Methoxybenzylidene)-4-butylaniline (MBBA)を用いた。これらの系に対して、誘電緩和測定を実施し、電極分極を詳細に調べた。その結果、分子の配向性とcharge carrierの拡散運動が密接に関係していることが明らかとなった。ただ、相転移に伴うモルホロジー変化に起因した種々の要因をどのように評価すべきか、さらに、界面ダイナミクスとの関係の解明は今後の課題であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリアミド薄膜系での誘電緩和測定は順調に進んでおり、高分子薄膜での界面効果のcharge carrier の拡散運動への影響が明らかとなっているから。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度にビームがストップしていたため、j-parcでの中性子反射率測定は先送りになっていた。しかし、無事、ビームも復活し、新たなビームタイムの割り当てを受けたので、2016年6月に中性子反射率測定を行う予定である。この実験結果を踏まえて、高分子積層膜の界面ダイナミクスの機構を明らかとし、論文の執筆を行う。また、ポリアミド系およびイオン液晶の誘電緩和測定の結果を界面ダイナミクスの立場から解析し、国際会議において研究成果の発表を行い、研究成果の国際的な発信とする。
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Causes of Carryover |
当初の予定と異なる実験結果が得られるとともに、部分的に予想以上に研究が進んだ。それらの成果について、補足的な実験を実施するとともに、2016年の国際会議で発表する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
不足しているデータを取り直すとともに、国際会議において研究成果の発表を行い、本研究により得られた成果を国際的に発信する。具体的な国際研究集会としては、1) EMN Meeting on droplets 2016, 2016.5.9-13, San Sebastian, Spain, 2) The XVIIth International Congress on Rheology (ICR2016), 2016.8.8-13, Kyoto, Japan, 3) 9th International Conference on Broadband Dielectric Spectroscopy and its Applications, 2016.9.11-16, Pisa, Italy. を予定している。
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