2013 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧条件下におけるケイ酸塩メルトの密度と粘性のその場測定
Project/Area Number |
25287111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船守 展正 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70306851)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SiO2ガラス / 剪断流動 / ケイ酸塩メルト / 密度 / 粘性 / 静的圧縮 / 動的圧縮 |
Research Abstract |
当初計画では、初年度にあたる平成25年度に実験設備の高度化を実施し、次年度以降はケイ酸塩のガラスやメルトの測定に重点を移すことになっていた。しかし、幸運なことに、高度化のための準備の過程において、既存設備を使った変形実験により、脆性物質であるSiO2ガラスが予想外に大きな剪断流動を起こすという結果が得られ、この研究を進めることを優先させた。SiO2ガラスは、共有結合性が高く、また、長距離秩序(結晶性のすべり面)を持たないため、ほとんど流動性を示さないと考えるのが一般的であった。放射光X線回折による構造解析などの結果、新しく発見された高い流動性は、中距離秩序(ネットワーク構造)の異なる共有結合性の低い別の相への圧力誘起相転移によるものと解釈することが可能であり、地球内部においてケイ酸塩メルトの粘性が圧力とともに低下することも説明することが可能であるとの結論に至った。我々は、この研究とは独立に、ケイ酸塩メルトの密度の圧力変化についても、同様のモデルを提案しており、密度と粘性という二つの重要な物性が、同じ枠組みで説明されたことの意義は大きい。この研究成果については、現在までに論文にまとめて学術雑誌に投稿中である。この他、ケイ酸塩メルトの密度測定について、静的圧縮と動的圧縮の実験で大きく食い違っていることを見出し、その原因を考察して、静的圧縮のデータのほうが信頼性の高いことを明らかにした。この研究成果については、論文にまとめて学術雑誌において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画とは異なるが、脆性物質であるSiO2ガラスが予想外に大きな剪断流動を起こすことを発見し、ケイ酸塩メルトの粘性に関する重要な知見を得た。また、ケイ酸塩メルトの状態方程式についても重要な知見を得て論文としてまとめて公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
SiO2ガラスの流動性についての予想外の発見とそれに関連した実験や考察が一段落したので、当初計画に戻り、実験設備の高度化を早急に実施してメルトの測定に重点を移す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既存設備を使った変形実験により、SiO2ガラスの流動性についての予想外の発見があり、それに関連した実験や考察を優先させたため、設備の高度化を進めることができなかった。 当初計画に戻り、実験設備の高度化を進める。当初予定にあったCO2レーザー加熱装置や試料観察光学系の高度化の他、ガラスやメルトの相転移に関するより詳細な知見を得るため、放射光利用の高圧下その場小角散乱実験の高度化に必要な真空チャンバーの導入も行う。
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Research Products
(21 results)