2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25288008
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80197459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正和 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10283459)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水 / 氷 / シミュレーション / 高圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
高圧氷に対して、幾つかの最密充填構造であって、各分子4水素結合が可能である構造(六方最密充填と面心立方各2種類)を、プロトンの位置が異なる100配置生成した。それらに対して、不安定とはならない体積範囲における、調和振動解析を実施して、与えられた温度と圧力下での最安定構造を得る準備がほぼ完成した。これらをもとに、比較的低温かつ高圧領域の構造と相転移について、予想することが可能となる。 メタンハイドレートの温度、圧力、組成に対する相挙動の解明、生成解離の熱力学量の理論的予測を行った。メタンハイドレートの中・大規模分子動力学シミュレーション実施により、融解速度の外部条件依存性の検討を実施した。数十万原子以上の大規模またサブμ秒の長時間シミュレーションを実施し,メタン分離の速度について新たなメカニズムを見出した。さらに、現実的な条件であるハイドレートがNaCl水溶液と接する場合の、同条件下のシミュレーションを実施した。その結果、融解機構はNaClの存在により大きく変化するが、その変化の仕方は一様ではなく、分解速度の抑止と促進の両方に寄与していることが明らかとなった。高濃度のNaCl水溶液中では、解離速度が促進され、また気泡の生成が界面で起きていることを見出した。これは、電解質水溶液中でのメタンの高い化学ポテンシャル(低い溶解度)により起きていることが判明した。 以上に加えて、THF(tetrahydrofuran)の融解に関して、一方向に融解が起こるような適切な境界条件を設定することにより、幾つかの境界となる面の安定性についてのシミュレーションを実施し、面依存性が大きいことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である高圧の氷に対して、安定性を評価するために重要な調和振動解析を実施して、与えられた温度と圧力下での最安定構造を得る準備がほぼ完成した。それに加えて同様の水からなるハイドレーについても、多くの成果があげられているため。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧氷に対して、幾つかの最密充填構造であってかつ各分子4水素結合が可能である構造(六方最密充填と面心立方各2種類)に対して、可能な体積範囲における、調和振動解析を実施して、与えられた温度と圧力下での最安定構造を得る準備がほぼ完成した。これらの結果をもとに、比較的低温かつ高圧領域の構造と相転移について、理論的予想する。 ハイドレート構造の安定性を、上記と同様な方法により行うと同時に、初期状態を二相共存とした大規模シミュレーションからも検証する。
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Causes of Carryover |
予定していた物品費について、次年度まとめて使用する方が、研究を遂行するうえで効率的であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を推進するうえで、次年度高速のコンピュータを購入予定である。
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Research Products
(11 results)