2014 Fiscal Year Annual Research Report
埋もれた界面のヘテロダイン検出和周波発生の開発と応用
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25288014
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山口 祥一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60250239)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘテロダイン検出 / 和周波発生分光 / 振動スペクトル / 埋もれた界面 / 水 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,埼玉大学理工学研究科化学系専攻応用化学コースの研究代表者の研究室におけるヘテロダイン検出振動和周波発生分光装置の立ち上げと,理化学研究所田原分子分光研究室の既存のヘテロダイン検出振動和周波発生分光装置による埋もれた界面の測定を行った.
まず埼玉大学においては,研究代表者が着任1年目であったことから,装置の立ち上げに専念した.この新しい装置は,研究代表者が理化学研究所で開発した物に比べて,波数分解能が約6倍高いという優れた特長を有する.立ち上げは順調に進み,通常の埋もれていない界面の測定を充分な精度と品質で行えるようになった.
理化学研究所においては,既存のヘテロダイン検出振動和周波発生分光装置を用いた,新しい測定スキームを確立して,埋もれた界面の測定に成功した.具体的には,高分子/水界面とガラス/水界面の水分子のOH伸縮振動領域の二次非線形光学感受率のスペクトルを得ることができた.それによって,それらの埋もれた界面における水の水素結合の強さと分子配向について,明快な結論を得た.それらの研究結果は,国内学会において口頭発表され,高い評価を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進んでいる.
まず,理化学研究所において既存のヘテロダイン検出振動和周波発生分光装置と新しい測定スキームによって,実際に埋もれた界面の水の振動スペクトルを得ることに成功した.これは,「研究の目的」を達成したことに相当する. また,研究代表者の埼玉大学理工学研究科化学系専攻応用化学コースへの異動に伴なって,新しい高波数分解能の装置の立ち上げにも成功した.理化学研究所において確立した新しい測定スキームを適用することによって,埋もれた界面の振動スペクトルをさらに高い波数分解能で得ることが可能となりつつある.
以上から,研究は遅滞なく進展していると自己評価することができる.
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Strategy for Future Research Activity |
埼玉大学理工学研究科化学系専攻応用化学コースにおいて立ち上げた,高波数分解能のヘテロダイン検出振動和周波発生分光装置によって,埋もれた界面の振動スペクトルをさらに高い波数分解能で得ることを目指す.また,これまでのところは測定波数領域がOHとCHの伸縮振動領域に限られていたが,これを指紋領域にまで拡大する.
埋もれた界面の振動スペクトルをさらに高い波数分解能で得ることには原理的な困難がなく,成功すると思われる.
測定波数領域の拡大について,レファレンスの選定が課題となる可能性がある.ヘテロダイン検出振動和周波発生分光では,何をレファレンスとするのかが非常に重要である.レファレンス界面は,測定波数領域で非共鳴であることと,充分な強度の二次非線形光学感受率を有することが求められる.そのようなレファレンスの選定は,特に指紋領域においては容易でないかもしれない.網羅的な測定によって,良いレファレンスを探し出すことも考える.
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Research Products
(3 results)