2014 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホールを含む元素相乗型π共役分子の構築と有機デバイスへの応用
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25288020
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
俣野 善博 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40231592)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホスホール / クロスカップリング / チオフェン / 分子内電荷移動 / ボリル基 / ホスホニウム塩 / 発光特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ホスホールを基軸とする元素ハイブリッド型π共役分子を構築し、その構造―物性相関を明らかにした上で、ホスホールおよび他のヘテロールそれぞれの特性が相乗的に発揮されるような機能性材料の設計指針を提案することを目的としている。本年度は、主に次の二つの課題に取り組んだ。(i) π共役型縮環ホスホールの効率的合成の確立と構造-物性相関の解明、(ii) ヘテロ原子官能基を持つチオフェン―ホスホール連結分子の合成と光物性の解明。まず、2位にブロモ基を持つベンゾホスホールおよびナフトホスホールと種々のアリールホウ酸との鈴木-宮浦反応を利用して、対応する2-アリール体を合成する手法を確立した。また、得られた誘導体の吸収・発光スペクトル測定および時間分解蛍光寿命測定を行い、縮環した芳香環と2位に導入されたアリール基がπ系全体の光物性に与える影響を調べた。その結果、ジフェニルアミノ基を持つ誘導体が励起状態で大きく分極し、高い発光量子収率と大きなストークスシフトを示すことを明らかにした。次いで、2,5-ジチエニルホスホールの位置選択的なリチオ化とメタセシス反応を利用して末端にボリル基あるいはホスホニオ基を持つ誘導体を合成した。得られた化合物の吸収・発光スペクトル測定を行い、末端の置換基がπ系全体の光物性に与える影響を調べた結果、ボリル基の導入によりLUMOが大きく安定化されること、および、ホスホニオ基を持つ誘導体の発光特性が対アニオンの種類に大きく依存することを見いだした。さらに、時間分解蛍光寿命測定により、発光強度の変化が対アニオンの解離平衡に由来することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた課題をほぼ検討することができており、研究課題はおおむね順調に進展している。また、縮環ホスホールおよびジチエニルホスホールの構造-物性相関を調べる過程で、高い発光量子収率と大きなストークスシフトを併せ持つ誘導体や、対アニオンの違いにより発光特性を大きく変える誘導体を開発することに成功した。この結果は、ホスホールを母核とする発光センサーやイメージング材料の開発につながるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、縮環ホスホールを含むD-π-A型色素および発光材料に焦点を絞り、その簡便かつ効率的な合成法を確立した上で、構造-物性相関を基礎化学的側面から系統的に解明する。さらに、基礎から応用への橋渡しをするために、これまでに開発したホスホール誘導体を構成要素とする有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機発光デバイスを作製し、そのデバイス特性の評価を通じて、実用化に値する候補化合物群を探索する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に備品を2つ購入したが、機種の見直しにより当初の想定額よりも大幅に安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、平成26年度に購入した備品用の消耗品購入費、および、外国旅費として使用する。
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Research Products
(10 results)