2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25288040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00322066)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 界面 / 光制御 / ダイヤモンド |
Research Abstract |
本研究は、「固体物質の電子状態・エネルギー状態を化学的に制御できるナノレベルでの光機能界面を構築し、電子状態の詳細な解明も含めて、自在に界面電子状態を操る方法論として確固たるものとすること」を目標としている。さらに、この考え方を磁性のみならず、超伝導性、界面電子輸送特性に拡張し、物性を光制御できる新材料を創製することを通して、次世代に向けた新規な光機能性材料創製の技術提案を行うことを目指している。本年度は、「超高濃度にホウ素をドープしたダイヤモンド」の界面に着目し、その化学状態を制御することで、超伝導特性を化学制御することを試みた。目標である「光機能性分子の修飾などによる超伝導特性の光制御」を目論み、初めに、終端制御によるその超伝導特性の制御を目指した。As-grownの水素終端のダイヤモンド薄膜(膜厚約10μm)の終端を表面酸化することにより酸素終端に変換し、それぞれの磁化率、電気抵抗等の測定を行ったところ、反磁性磁化率の大幅な増大が観測されただけでなく、臨界電流値の減少が観測された。この試料を水素プラズマ処理により水素終端に戻したところ、それらの値は初期の状態に戻り、可逆性も確かめられた。このように、表面の化学種によりバルクの超伝導特性を制御できる可能性が明らかとなったため、次年度検討する「光機能性分子の修飾などによる超伝導特性の光制御」の可能性は極めて高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面の化学状態の制御により磁性を制御できることを以前に明らかにしてきており、これが一般的な物性制御の考え方として確立することが大きな目的であるが、その点で、本研究で類似のアプローチが、ホウ素ドープダイヤモンド超伝導体においても適用可能であることが示されたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ホウ素ドープダイヤモンドの超伝導特性の終端元素による可逆制御に成功したので、初めに、光応答性分子の表面修飾による光機能化を目指す。さらに、「光磁性体―超伝導体」の複合薄膜など、全く新しい機能をもつ複合材料の創製を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「超伝導の光制御システム創製」において、本年度は、その基礎的なデータとして、水素終端、酸素終端における超伝導特性の制御に注力し、界面化学状態が超伝導特性に影響を及ぼすことを示した。すなわち、さまざまな機能性分子による制御のための基礎を確固たるものにすることに力を注いだことにより、本年度に必要な経費が予定より少なくて十分な研究成果を得ることができたため。 次年度においては、実際に機能性分子を修飾、あるいは、機能性分子との複合材料の創製に力を注ぐことにより、「界面の化学制御」が物性制御に有効であることを実証する。実際に、本年度に検討できなかったさまざまな分子の設計、合成のために、経費が必要となる。
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Research Products
(7 results)