2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25288041
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
吉田 幸大 名城大学, 農学部, 助教 (10378870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前里 光彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60324604)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / コロネン / 電荷移動錯体 / 超伝導 / 超分子ローター / キャリア注入 / 電界効果トランジスタ / 結晶構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1) 電荷移動型超分子ローターの開発:共昇華法を用いて、ボウル型コランニュレンとTCNQから成る電荷移動(CT)錯体の合成に成功した(Y. Yoshida et al., Chem. Lett. 44, 709 (2015))。分離積層と交互積層が交互に並んだ稀有な構造を有しており、温度因子の異方性から分離積層内のコランニュレン分子は100 Kにおいても軸回転していると予想される。一方、交互積層内のコランニュレン分子において、隣接TCNQ分子とのCT相互作用が凸面と凹面で大きく異なることを見出した(拡張Huckel計算から算出した重なり積分値より)。 分子の対称性が分子集積や固体中での回転挙動に与える影響について検討するために、ベンゾ[ghi]ペリレン分子を用いた錯体作成も始動している。現在までに交互積層、分離積層、非積層構造を有するCT錯体の合成に成功している。 課題2) 超伝導体の開発:溶液中での電解酸化により、分離積層構造を有する初のコロネン陽イオンラジカル塩(coronene)3M6O19(M = Mo, W)の合成に成功した(Y. Yoshida et al., 論文投稿中)。交互積層や非積層構造を形成するコロネン分子に比べ、面内回転速度が4~6桁小さいことを見出した(課題1に該当)。また、低温での結晶構造解析から、コロネン陽イオンの静的Jahn-Teller歪みの観測に初めて成功した。Raman測定やDFT強結合モデル計算から、(coronene)3Mo6Cl14で観測された電荷不均一は起きていないこと、すなわち部分酸化(+2/3価)コロネン分子から成る分離積層の構築を確認した。しかしながら、積層様式がユニフォームではないために良導電性(0.05 S cm-1 for M = Mo、3.0 S cm-1 for M = W)を示すもののバンド絶縁体であった。現在は、圧力下での伝導度測定や、完全+1価コロネン分子が分離積層を形成した陽イオンラジカル塩の諸物性評価を推進している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題1) 電荷移動型超分子ローターの開発:多彩な集合様式(分離積層、交互積層、非積層構造)を有するコロネンCT錯体の開発に成功したことにより、結晶構造、すなわち分子間相互作用と回転挙動の相関について多くの知見を得ることができた(Y. Yoshida et al., Cryst. Growth Des. 15, 1389 (2015))。また、中性CT錯体(coronene)3TCNQや陽イオンラジカル塩(coronene)3Mo6Cl14において、コロネン分子の固体中での超高速回転(> 10 GHz)を実現した(Y. Yoshida et al., Eur. J. Inorg. Chem. 2014, 3871 (2014))。コロネンCT錯体の良質単結晶育成(拡散法、共昇華法、電解酸化法など)に関するノウハウも着実に蓄積している。コランニュレンやベンゾ[ghi]ペリレンといったコロネン関連分子を用いたCT錯体の開発も着実に進展している(Y. Yoshida et al., Chem. Lett. 44, 709 (2015))。 課題2) 超伝導体の開発:等方的3次元構造を有するコロネン陽イオンラジカル塩(coronene)3Mo6X14(X = Cl, Br)に続き、分離積層構造を有する(coronene)3M6O19(M = Mo, W)の開発に初めて成功した(Y. Yoshida et al., 論文投稿中)。この錯体について諸物性測定ならびに理論計算を行うことにより、これまで全くの未知であった固体中でのコロネン陽イオンの性質(電子状態や幾何構造)について多くの知見を得ることができた。現在まで、金属的挙動を示すコロネンCT錯体の開発には成功していないものの、その実現において必須とされる条件、(1) コロネン分子の部分酸化状態、(2) π積層の構築、(3) 積層内でのコロネン分子のユニフォームな整列、のうち(1)と(2)についてはすでに達成している。 以上の理由から、本研究プロジェクトは当初の目標を超える研究の進展があり、予定以上の成果が見込まれると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1) 電荷移動型超分子ローターの開発:DA型交互積層内のコロネン分子については、その回転挙動と結晶構造の相関に関して多くの知見を得ている。来年度は、主に共昇華法を用いて、DDA型交互積層を有するコロネンCT錯体の合成を推進し、固体中でのコロネン分子の回転挙動について調査する。また、CT錯体には分類されないが、分子間相互作用が大幅に低減したコロネン包摂化合物の合成も推進し、コロネン分子の回転挙動について調査する。ベンゾ[ghi]ペリレンやトリベンゾコロネンといったコロネン関連分子を用いた錯体作成も積極的に推進する。 課題2) 超伝導体の開発:今年度開発した、完全+1価コロネンが分離積層を形成した陽イオンラジカル塩の諸物性評価を行う。超伝導などの興味深い電子物性が確認された場合には、同族元素を用いた同形錯体の合成を行い、電子物性の系統的な評価を行う。また、空隙を有するポリマー陰イオンとのkey-keyhole関係を利用して、コロネン分子がユニフォームに整列した陽イオンラジカル塩の実現を目指す。バンド絶縁体(coronene)3M6O19(M = Mo, W)への化学ドーピングを行い、バンドフィリング制御による金属化を目指す。
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Causes of Carryover |
少額であるため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬等の物品費として使用する。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Isotropic Three-Dimensional Molecular Conductor Based on Coronene Radical Cation2014
Author(s)
Y. Yoshida, M. Maesato, Y. Kumagai, M. Mizuno, K. Isomura, H. Kishida, M. Izumi, Y. Kubozono, A. Otsuka, H. Yamochi, G. Saito, K. Kirakci, S. Cordier, C. Perrin
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Journal Title
Eur. J. Inorg. Chem.
Volume: 2014
Pages: 3871-3878
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] C3h, D6h, D4h対称性分子におけるヤーン・テラー歪み,および電子構造に関する理論的解析2015
Author(s)
大江佳毅, 中野義明, 高橋佑輔, 大塚晃弘, 矢持秀起, 吉田幸大, 齋藤軍治, D. V. Konarev, R. N. Lyubovskaya
Organizer
第13回京都大学低温物質科学研究センター講演会・研究交流会
Place of Presentation
京都大学百周年時計台記念館
Year and Date
2015-02-10 – 2015-02-10
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[Presentation] コロネンラジカル陽イオンを用いた3次元伝導性超分子ローターの開発2014
Author(s)
吉田幸大, 前里光彦, 熊谷翼秀, 水野元博, 磯村和秀, 岸田英夫, 和泉正成, 久保園芳博, 大塚晃弘, 矢持秀起, 齋藤軍治
Organizer
第8回分子科学討論会
Place of Presentation
広島大学東広島キャンパス
Year and Date
2014-09-21 – 2014-09-24
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[Presentation] First Coronene Cation Radical Salt: Isotropic Three-Dimensional Molecular Conductor2014
Author(s)
Y. Yoshida, M. Maesato, Y. Kumagai, M. Mizuno, K. Isomura, H. Kishida, M. Izumi, Y. Kubozono, A. Otsuka, H. Yamochi, G. Saito, K. Kirakci, S. Cordier, C. Perrin
Organizer
International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals (ICSM2014)
Place of Presentation
フィンランド・トゥルク
Year and Date
2014-06-30 – 2014-07-05
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[Presentation] Superconductivity Emerging from Spin Liquid2014
Author(s)
M. Maesato, T. Hiramatsu, Y. Yoshida, Y. Shimizu, A. Otsuka, G. Saito, H. Kitagawa
Organizer
International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals (ICSM2014)
Place of Presentation
フィンランド・トゥルク
Year and Date
2014-06-30 – 2014-07-05
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