2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25288044
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
網井 秀樹 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00284084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園山 正史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (40242242)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / フッ素 / 脱炭酸反応 / 炭素―炭素結合形成 / ヘテロ元素化合物 / ラジカル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機フッ素化合物は、フッ素原子が醸し出す特異な性質により、医薬・農薬、並びに液晶等の機能性材料として注目を浴びている。ジフルオロメチレン化合物(-CF2-基を有する化合物)は、エーテル(またはカルボニル化合物)の等配電子体として働くことが知られており、その効率的な合成法の開発が望まれている現状である。平成26年度は、25年度に得た知見を発展させ、以下のアプローチで研究を実施した。 (1)脱炭酸反応による炭素-炭素結合形成:平成25年度に2-アリールジフルオロ酢酸カリウム(Ar-CF2CO2K)の脱炭酸反応により生じたアニオン種と求電子剤(アルデヒド、ケトン)との反応を見出だし、平成26年度は基質適用範囲を徹底的に調査した。銅塩存在下、2-アリールジフルオロ酢酸カリウムに対し、イミンやヨウ化アリールと反応させたところ、目的の脱炭酸カップリング生成物が得られた。 (2)脱炭酸反応による炭素-ヘテロ元素結合形成と応用: DMF溶媒中、180℃の加熱条件下、2-アリールジフルオロ酢酸カリウムに対しジフェニルジスルフィドを作用させると、脱炭酸反応が進行し、良好な収率で、(α-チオフェニル)ジフルオロメチル化芳香族化合物が得られた。平成26年度は(α-チオフェニル)ジフルオロメチル化芳香族化合物の選択的酸化を行ない、対応するスルホキシド、およびスルホンを作り分けることに成功した。 (3)ラジカル反応による有機フッ素化合物の合成 電子供与基を有するアリールジフルオロ酢酸カリウムに対し、銀/銅混合酸化触媒を作用させると、ラジカル的脱炭酸反応が進行し、1,2-ジアリールテトラフルオロエチレンが中程度の収率で得られた。さらに、ラジカル付加反応によって、フッ素置換基を有するリン脂質化合物を合成し、集合体形成の挙動の物性調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、脱炭酸反応による炭素―炭素結合形成、炭素-ヘテロ元素結合形成、ラジカル種を用いる合成反応は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、不斉触媒反応の実現を目指し、多岐にわたるフッ素化合物の合成を実施したい。
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Causes of Carryover |
H26年度から27年度の繰越については、研究の効率的遂行の目的で行なった。不斉触媒反応の実現を目指し、H26年度は旋光度計の導入したが、その本格化をH27年度に集約的に行ないたいと考えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
不斉触媒反応についてはH27年度に、複数種の高価なキラル配位子などを用いる反応系の徹底的検討が必要となる。そのため、未使用額については、計画的に翌年度に持ち越し、高効率的な実験検討に用いる。
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Research Products
(22 results)