2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25288047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南方 聖司 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90273599)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヨウ素 / 超原子価ヨウ素 / ハロゲン結合 / 不斉合成 / 触媒反応 |
Research Abstract |
ヨウ素に強い電子求引性ユニットを結合させることにより、ヨウ素原子のσホールのルイス酸性(ハロゲン結合の源)の特徴を巧みに活用したsp2窒素の活性化を検討した。即ち、イミダゾリンの窒素を四級化したイミダゾリウム塩の2位の炭素にヨウ素が結合した分子を設計・合成した。この物質をアルジミンの活性化(LUMO軌道の低下)に活用し、ダニシェフスキージエンとのDeals-Alder反応を検討した。その結果、シクロ付加反応は触媒的に進行し、種々の付加体を得ることに成功した。この2-ヨードイミダゾリニウム塩が存在しないい場合は反応が進行せず、本Deals-Alder反応には必須であることが明らかになった。ヨウ素以外のハロゲンの検討結果、臭素も本系に活用できることが判明した。さらに、アルジミンと本ルイス酸とのハロゲン結合の結合定数を測定により求め、これまでに報告されている値と同等であり、ハロゲン結合によって活性化されていることが裏付けられた。 〇キラルピリジン系触媒による不斉合成 次亜ヨウ素酸tert-ブチル(t-BuOI)のヨウ素のルイス酸性と酸素の塩基性に着目し、これに相互作用すると考えられるビスイミダゾリン系ピリジン配位子を設計した。光学活性なジアミン、例えばジフェニルエチレンジアミンを調製し、2,6-ジシアノピリジンと反応させることによって、ビスイミダゾリンピリジンを合成することができた。この化合物と次亜ヨウ素酸tert-ブチルとの相互作用を観測するためにNMRを用いて調べたところ、弱いながらもその作用が認められた。今後、不斉合成に展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、予定していた1価ヨウ素の合成化学反応に対する触媒的な利用として、2-ヨードイミダゾリニウム塩を設計・合成することができた。さらに、これがハロゲン結合によってイミンを活性化し、ダニシェフスキージエンとのDeals-Alderに適用できることを見出した。キラルピリジン系触媒の不斉合成に関しては、その不斉源の合成を達成できたが、この合成化学的な利用はこれからの課題として残った。その意味で、ある程度は今年度の目標は達成されてと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度にやり残したキラルピリジン系触を活用する1価ヨウ素を反応試剤とする触媒的不斉合成を主に検討しつつ、3価ヨウ素の合成化学的利用にも着手する。予備的な結果ではあるが、アリルカルボン酸に3価ヨウ素であるヨードベンゼンジアセタートを作用させたところ、脱炭酸を伴うアセトキシ化反応が進行することを見出した。この系の効率の向上と反応機構の解明を検討し、その結果に基づいて他の求核種の適用も調べていく。さらに、窒素置換基を有する超原子価ヨウ素をデザインし、窒素の極性転換反応やアルケンとの反応による触媒的アジリジン化反応の開拓にも着手する。
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Research Products
(8 results)