2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25288047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南方 聖司 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90273599)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヨウ素 / 超原子価ヨウ素 / 酸化反応 / アミノ化反応 / 脱炭酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において、平成26年度は3価および5価のヨウ素試薬を活用する新規反応開発に取り組んだ。その中で、3価の超原子価ヨウ素試薬を活用することで、β,γ-不飽和カルボン酸の脱炭酸酸素官能化および、窒素官能化反応を達成した。本反応では、高い求電子性を有する3価の超原子価ヨウ素中心が基質の不飽和結合部位を効率的に活性化することが反応達成の鍵となっている。また、本手法を用いることで、従来法では合成困難なアリルアルコール、およびアリルアミン誘導体の効率的合成も可能となった。さらに、3価のヨウ素試薬を活用する新規アミノ化反応の開発を指向し、フタルイミダートを有する新規超原子価ヨウ素試薬の開発にも成功した。これまでに、フタルイミダートを有する新規超原子価ヨウ素試薬を利用した合成反応はほとんど報告例がなく、本反応剤を活用することで、新規アミノ化反応の開発が期待できる。実際に、本反応剤がいくつかの酸化的アミノ化反応に有効であるという結果を得ている。また、より酸化度の高い5価のヨウ素試薬としてヨウ素酸に着目した。酸化力の高いヨウ素酸と適切なメディエーターを組み合わせて用いることで飽和炭化水素類に対してRitter型C-Hアミノ化反応が進行することを見出した。以上、3価および5価のヨウ素試薬を活用する新規反応を開発した。これらの反応は、毒性の高い重金属酸化剤を必要とする反応の代替になり得るものであり、医薬品などの付加価値の高い物質の創製に欠かせないものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、1価、3価、および5価のヨウ素試薬を活用する新規反応開発を目的としている。平成26年度においても、3価の超原子価ヨウ素試薬を活用する新規反応の開発を達成している。また、新たな超原子価ヨウ素試薬の設計、合成にも取り組み、更なる新反応開発に向けて一定の成果を得ている。さらに、5価のヨウ素試薬を活用する反応開発にも取り組み、その高い酸化力を活用することで、3価のヨウ素試薬では達成困難であった脂肪族炭化水素類に対するC-Hアミノ化反応などを見出している。以上より、ヨウ素の多様な原子価を活用する有機合成反応の確立を目指し、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、前述した目的を達成するために、引き続き1価、3価、および5価のヨウ素試薬を活用する反応開発に取り組む。平成27年度は、前年度に合成に成功したフタルイミダートを有する新規超原子価ヨウ素試薬を活用する反応、および比較的利用例の少ない5価のヨウ素試薬を活用する反応の開発に注力する。例えば、従来困難とされている炭素-炭素不飽和結合の酸化的多官能化や、脂肪族炭化水素、および芳香族炭化水素類のC-H結合直接官能化反応などをターゲットとして研究を進める。また、より安価な酸化剤を末端酸化剤として活用した触媒的な反応系の構築にも着手する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた5価ヨウ素を用いた反応の機構解明に関する研究が少しだけ先送りになったため、次年度使用額に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定の5価ヨウ素を用いた反応の機構解明に関する研究を遂行するための試薬代等に使用する。
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Research Products
(14 results)