2014 Fiscal Year Annual Research Report
オンサイト気化-質量分析によって水圏/気圏間の物質移動をはかる
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25288068
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
戸田 敬 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (90264275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 慎一 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (60547826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気圏水圏 / フラックス / ジメチルスルフィド / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋など水圏由来の揮発性化学物質の,気圏/水圏界面における物質移動の推移を把握できるシステムや手法を確立し,物質移動の挙動の解明につなげることを目的としている。そのためには,水圏と気圏の双方における物資濃度を同時に測定する必要があり,同時分析を達成するため,溶存物質の気化-導入インターフェースの検討,ソフトイオン化質量分析の導入を行った。平成26年度は,導入した質量分析計について種々検討を行い,操作条件の確立をはかった。実際使用してみると,感度の安定化に時間を要すること,設定する真空度によってフィラメントの寿命が著しく短くなること,イオン化のガスがすぐ消耗することなどが判明した。これらを対策するため,また感度を維持するため,分析条件の確立ならびに維持管理方法の確立を行った。 水試料の溶存物質と同じ物質の大気中濃度を同時分析するため,分析の自動システムを構築した。たとえば,水中のジメチルスルフィド(DMS)と大気中のDMSを交互に測定することが可能になった。さらに,DMSの前駆物質と考えられるジメチルスルフォニオプロピオネート(DMSP)のDMSへの加水分解過程を組み込み,大気中DMS,溶存DMS,溶存DMSPの3種の測定が可能になった。これら3種の分析が15分毎に行えるようになった。本システムを,当大学のマリンステーション(天草)に設置し,実際に海水とその海面上大気のこれらの成分の推移を求めた。本測定により,日内においてこれらの物質が周期的に変動していることがはじめて示された。また,気圏・水圏双方の濃度よりフラックスを求めたところ,本フラックスも日内で大きく変動していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度末に導入した質量分析計の実際の稼働は平成26年度となった。実際に運用してみるとさまざまな問題が発覚し,その対応におわれた。しかし,種々の課題を克服し,順調に質量分析の運用を行えるようになった。さらに,気相と水相の物質を同時分析する装置を初めて構築し,また揮発性物質の前駆物質も含めて分析が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
フラックスの変動があることが確認できたため,プランクトンの活性や挙動の物理的化学的影響も含め,モデル化をはかり,これらの変動をうまく説明できるよう解析をすすめていく。また,できるだけ多くのシチュエーションでデータを得て,得られた結果を検証していくこと必要と考えられる。
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