2014 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド人工細胞膜セラソームを用いる分子通信インターフェースの構築と情報伝達
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25288077
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
菊池 純一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工細胞膜 / セラソーム / 分子通信 / 情報伝達 / 分子認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生物が分子と電子の両者を情報キャリアに用いて優れた情報伝達を達成していることに鑑み、これまで我々が推進してきた分子を情報キャリアとする人工の情報処理システム、いわゆる「分子通信システム」において、分子情報と電子情報の相互変換が可能なインターフェースを人工細胞膜で構築し、高次情報伝達系を創出することを目指している。平成26年度は、以下の成果が得られた。 1.分子通信インターフェースの性能向上のための人工細胞膜の開発: 分子通信インターフェースにおける分子情報から電子情報への変換効率向上が期待される人工細胞膜として、新規のセラソームを開発した。具体的には、電子移動にとって不利な脂質二分子膜の厚みを従来よりも薄くしたセラソーム、機能性レドックス分子をより強力な静電相互作用によって自己集積化できるセラソーム、及び導電性に優れたイオン液体の構造ユニットを表面にもつセラソームを作製できる人工脂質を新たに合成し、それらが構造安定性に優れたセラソームを形成することを明らかにした。 2.分子受信機を装着した分子通信インターフェースの作製と情報変換機能の評価: 生体系での電子伝達に深く関わっているヘムタンパク質であるシトクロムcや西洋わさびペルオキシダーゼをセラソーム表面に非共有結合的に自己集積化したハイブリッドセラソームを作製した。このハイブリッドセラソームを分子受信機として用い、これを電極上に固定化することで、分子通信インターフェースを構築した。その結果、分子情報と電子情報の相互変換が効率よく達成されることを電気化学的測定によって明らかにした。 3.分子通信のための分子情報発信システムの構築: 非二分子膜構造を形成できる合成ペプチド脂質を活用することで、分子送信機である人工細胞膜から膜分裂によって分子情報を発信できる新たな分子通信システムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に計画していた、分子通信インターフェースの性能向上のための人工細胞膜としての新規セラソームの開発に成功した。また、分子受信機を装着した分子通信インターフェースにおける分子情報から電子情報への変換も、機能性ヘムタンパク質を自己集積化したハイブリッドセラソームを用いることで達成された。さらに、分子送信機である人工細胞膜から、非二分子膜構造が関与する膜分裂によって分子情報を発信できる分子通信システムも新たに開発した。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、基本的には当初計画に従い、以下の2つの観点から研究を推進する。 1.分子受信機を装着した分子通信インターフェースの機能向上 分子受信機を構成するセラソームと機能性レドックス分子の組み合わせを種々変化させて、分子情報と電子情報の相互変換に有効な分子通信インターフェースを創出する。具体的には、機能性レドックス分子として、ポルフィリン及び類似の大環状配位子をもつ金属錯体や、鉄ポルフィリン誘導体を共同因子にもつ金属タンパク質を用いる。これらを非共有結合的相互作用によって、様々なセラソームに自己集積化したハイブリッドセラソームを作製し、電気化学的挙動の検討から分子/電子情報変換機能を評価する。 2.分子送信機から分子受信機への分子カプセルによる情報伝搬 分子送信機、分子受信機、分子カプセルをセラソームなどの人工細胞膜で作製し、膜の分裂と融合を利用して、分子カプセルによる送信機から受信機への情報伝搬系を創出する。また、分子識別能を有する分子タグを用いて、送信機から受信機への分子カプセルの選択的情報伝搬についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
今年度の研究は、当初計画に沿って順調に成果を上げることができたが、経費使用に当たっては、現有の消耗品等を有効に活用することで節約を行い、基金分については未使用額を次年度以降3年間の研究経費に使用できるよう工夫した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究は、2年目が終了したが、今後3年間継続する研究であるので、基金分の未使用経費は、次年度以降の研究成果をさらに拡張するための新たな物品購入や、研究成果を広く世界に発信するための旅費等に充てる計画である。
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Research Products
(14 results)