2013 Fiscal Year Annual Research Report
高強度・形状記憶ソフト&ウェット材料の超高精度自由造形法の確立
Project/Area Number |
25288094
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
古川 英光 山形大学, 理工学研究科, 教授 (50282827)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 高分子合成 / 高分子構造・物性 / 機械材料・材料力学 / ゲル / 3Dプリンタ |
Research Abstract |
申請者は2010年、高強度ダブルネットワークゲルの技術を駆使することによって、ゲル前駆体にUV光を照射するだけで高強度ゲルを製造できる画期的な合成方法の開発に成功した。本研究は、これまでの申請者の研究成果に立脚し、高強度ゲルや形状記憶ゲルを高い空間分解能で自由造形可能な、世界初の三次元ゲルプリンタを開発することを目的とし、高強度・機能性ゲルの合成と構造解析、さらに力学機能の評価の全てにおいて、先端的な研究手法を縦横に駆使することによって、空間精度としてミクロンオーダーの造形を目指す。最終的には、ゲルプリンタによって情報科学技術と高分子ゲル技術をシームレスに統合し、未来のものづくりに変革をもたらすことを目標とする。平成25年度は下記を実施した。 【テーマ1. 自由造形ゲルの創製】 ゲルを自由造形できる世界初のゲルプリンタの開発を進めた。 1. P-DNゲルの局所的UV照射自由造形法の確立:申請者らが開発したパーティクル・ダブルネットワークゲル(P-DNゲル)は世界最高強度をもつDNゲルの合成法を簡便にできる方法として重要であることから、P-DNゲルをゲルプリンタに適用した。工業材料として十分な強度(圧縮破断強度10MPa、伸張破断ひずみ100%)、ならびにゲルの特徴としての高含水率(含水率90%)を達成した。 2. UV照射による2Dプリンタ機構の開発: X-Y方向の2D走査が可能な機構によって、UVレーザーを照射する光学系を構築した。 3. 光ファイバーによる2.5D造形法の開発:光ファイバーによって局所的なUV照射を行い、溶液中でさまざまな種類のゲルを自由造形するシステムを構築した。 4. 二光子励起UV重合による3D造形法の開発:ファイバーの先端近傍のみで重合反応を開始させる方法として二光子励起重合開始反応の適用を試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記、テーマ1.に関して、下記の事項を達成した。 1. P-DNゲルの局所的UV照射自由造形法の確立:3Dゲルプリンターに適した合成条件の検討を行い、目標を達成した。 2. UV照射による2Dプリンタ機構の開発:走査機構を構築し、造形を確立した。 3. 光ファイバーによる2.5D造形法の開発:適切な光ファイバーを見出すことができた。 4. 二光子励起UV重合による3D造形法の開発:ファイバーの先端近傍のみで重合反応を開始させる方法として二光子励起重合開始反応の適用を試み、ミクロンサイズの造形物の作成に成功した。 この間雑誌論文(査読付論文)7件、招待講演14件、国際学会発表5件、国内学会発表5件、図書1件を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
【テーマ2. 自由造形ゲルの高強度化と機能化 ― 強化機構の解明、高次機能の付加 ―】 5. P-DNゲルの強化機構の解明 P-DNゲル内部の1stゲル微粒子の結合構造と力学特性の相関機構を解明する。これまでの実験からP-DNゲルは、1stゲル微粒子の粒径や内部網目密度、2ndゲルの網目密度によって力学特性に変化し、その機構は全く未解明である。申請者が独自に開発した走査型顕微光散乱(SMILS)はゲルの内部構造の測定に特化した構造解析装置である。このSMILSを活かして、P-DNゲルの高強度化メカニズムの解明に挑戦する。 6. 高延性付加の研究 申請者は、最近、ゲル力学特性の新たな向上法として、相互架橋網目構造(ICN構造)を持つ高延性ICNゲルの開発に成功した。透明で非常に高い含水率96%でありながら、引張り破断ひずみ600%以上を達成している。このような新しいゲルを3Dゲルプリンタで高精度に自由造形することを試みる。3Dゲルプリンタで造形した高延性ゲルの力学物性や構造評価を行いながら、適切な架橋剤やUV開始剤の選択、調製濃度条件を決定する。もし新たな性質をもつ高延性ゲルが見つかれば、それ自体が新しい成果になる。 7. 形状記憶機能の研究 長田らによって開発された形状記憶ゲル[Y. Osada, et al., Nature (1995)]は、微結晶からなる物理架橋点の熱的性質を上手く利用して、形状記憶金属に似た力学機能を付加することに成功している。申請者は、最近、この形状記憶ゲルを透明に合成できる方法を開発し、さらにこの方法により延性や弾性に富んだ形状記憶ゲルの合成に成功した。この新しい形状記憶ゲルを3Dゲルプリンタで高精度に自由造形することを試みる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費に差額が生じたため。 今年度の物品費として使用する。
|
Research Products
(35 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 導電性高分子ゲルの開発
Author(s)
阿部悠太, 宮 瑾, カビル ムハマドハスナット, 牧野 真人, 古川英光
Organizer
第62回高分子討論会
Place of Presentation
金沢大学角間キャンパス(石川県)
-
-
-
-
-
-
-