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2014 Fiscal Year Annual Research Report

多様な流動・変形履歴による二軸配向非晶フィルムの配向結晶化挙動に関する基礎解析

Research Project

Project/Area Number 25288097
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

鞠谷 雄士  東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70153046)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 宝田 亘  東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (50467031)
梅本 晋  東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90168758)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords結晶化速度 / 高分子 / 配向 / フィルム / 繊維
Outline of Annual Research Achievements

昨年までの検討で、超高速DSCを用いることにより、配向試料の結晶化に対応した時間分解能での結晶化発熱の測定が可能であることが確認されていたが、非晶状態にある配向試料を加熱した際、結晶化よりも早く熱収縮が発生し、それによりDSC測定のベースラインが乱れてしまうことが問題となることが明らかとなった。
本年度は、非晶状態にある配向試料の加熱時の収縮特性や、その際の熱の出入り、収縮後の結晶化挙動などを詳細に観測した。その結果、超高速DSCを用いて、試料のガラス転移点より10~40℃高温まで急速加熱し、即座にガラス転移点より十分低い温度まで急速冷却すると、非常に早い現象である熱収縮はほぼ完了する一方で、比較的遅い現象である結晶化はほとんど進行しないことを見いだした。この熱収縮した非晶状態の試料をもう一度所定の昇温速度で昇温し、その際の熱の出入りを観測することにより、結晶化速度を精度良く観測することが可能となった。その結果、元となる試料の配向度が高いほど、熱収縮後の結晶化速度が向上していることが示され、元となる試料の配向度と結晶化速度に相関があることが示された。
一般に、非晶状態にある配向試料を熱収縮させると、複屈折で観測される分子全体の平均的な配向度は0となりる事が知られている。今回の結果は、一度配向させた試料を熱収縮させ、分子全体の平均的な配向を緩和させても、結晶化速度が元々無配向の試料と比較して明らかに早いことを示している。これは、結晶化に影響を与える何らかの構造が熱収縮後も緩和せずに残っていることを示すものであり、配向試料の結晶化速度を考える際には、平均的な分子配向だけではなく、試料の変形履歴から来る、さらに高次の構造の配向まで考慮する必要があることを示すものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の目的は、一軸配向だけでなく、二軸配向や一面配向など、様々な配向が結晶化速度にどのような影響を与えるかを定量的に解析することを目的としている。
しかし、これまでの研究により、配向試料を結晶化させるために昇温する際には、結晶化よりも速度が速い熱収縮が先に発生し、結晶化速度の正確な測定を妨げることが明らかとなった。また、当初は三次元複屈折測定により分子の配向度を評価することを想定していたが、本年度の検討により、熱収縮後のサンプルにおいても、結晶化速度が向上していることが示され、複屈折では表すことのできない配向構造が結晶化速度に大きな影響を与えることが示された。
これらの結果は、当初の目標である配向試料の結晶化速度の定量解析という点で見れば進捗を遅らせる事となった。その一方で、複屈折では表せない配向構造が結晶化速度に大きな影響を与えることを定量的に示すことができたことは、高分子の配向結晶化の解析において大きな進歩である。

Strategy for Future Research Activity

本年度、熱収縮後のサンプルにおいても結晶化速度の向上が見られることが示されたことから、今後は、一軸配向に限らず、様々な配向様式で配向度の異なる試料を作製し、そのサンプルの熱収縮後の結晶化速度を測定することにより、結晶化速度に与える変形履歴の効果を明らかにする。
また、熱収縮を示さない樹脂と複合する等の手法を用いることにより形態を固定し、当初の配向度を保った場合の結晶化速度の測定も同時に進め、当初の目的であった配向試料の結晶化速度の定量解析を進めると共に、熱収縮の有無による結晶化速度の変化などから、結晶化速度に影響を与える構造について、より深い考察を進める。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Crystallization of poly(ethylene terephthalate) filaments by infusion of ethanol upon cold drawing2015

    • Author(s)
      Rina Khanum, Wataru Takarada, Arun Aneja, Takeshi Kikutani
    • Journal Title

      Polymer

      Volume: 59 Pages: 26-34

    • DOI

      10.1016/j.polymer.2014.12.071

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 高速DSCを用いた配向非晶ポリエチレンテレフタレート繊維の結晶化挙動解析2014

    • Author(s)
      柴田晟至 , 宝田亘 , 鞠谷雄士
    • Organizer
      成形加工シンポジア ’14
    • Place of Presentation
      朱鷺メッセ(新潟・新潟市)
    • Year and Date
      2014-11-06 – 2014-11-07
  • [Presentation] Analysis on crystallization behavior of oriented polymers utilizing differential scanning calorimetry of high heating rate2014

    • Author(s)
      Seiji Shibata, Wataru Takarada, Takeshi Kikutani
    • Organizer
      International Symposium on Fiber Science and Technology
    • Place of Presentation
      Tokyo Fashion Town Building (Koto-ku, Tokyo, Japan)
    • Year and Date
      2014-09-29 – 2014-10-01
  • [Presentation] 溶融紡糸・延伸法による中空糸膜の製造における未延伸糸の構造と中空糸膜の性能の関係2014

    • Author(s)
      杉浦聡, 宝田亘, 鞠谷雄士
    • Organizer
      高分子討論会
    • Place of Presentation
      長崎大(長崎・長崎市)
    • Year and Date
      2014-09-24 – 2014-09-26
  • [Presentation] Effect of polymer viscosities on the fiber structure and membrane properties of polypropylene / polyethylene bicomponent hollow fibers2014

    • Author(s)
      Satoshi Sugiura, Wataru Takarada, Takeshi Kikutani
    • Organizer
      Polymer Processing Society 30th annual meeting
    • Place of Presentation
      Cleveland, USA
    • Year and Date
      2014-06-08 – 2014-06-11

URL: 

Published: 2016-06-01  

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