2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノマトリックス構造によるゴム状高分子の粘弾性制御
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25288098
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
河原 成元 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00242248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 祥正 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90444190)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノマトリックス / 天然ゴム / 粘弾性制御 / ナノ粒子 / ゴム状高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質等の非ゴム成分を多く含む天然ゴムで新たに発見された、ゴム状平坦領域における力学エネルギーの散逸が低周波数で小さく高周波数で大きくなるという現象の発現機構を解明することを目的とする。この常識では考え難い動的粘弾性の周波数依存性について、天然ゴムの構造と物性の関係を解析し、その作動原理を解明し、普遍則を導くことを目指す。具体的には、厚さ数10 nmのタンパク質等のマトリックスに平均直径約1 mの天然ゴム粒子を分散させることより形成されたナノマトリックス構造と動的粘弾性の関係を解明するための検討を行う。また、タンパク質を完全に除去した天然ゴム粒子にナノ粒子を結合してから凝固させることにより、モデルとして構造が精密制御されたナノマトリックス構造を形成し、タンパク質等の非ゴム成分を多く含む天然ゴムで見出された動的粘弾性の周波数依存性を検証する。 タンパク質等の非ゴム成分を多く含む天然ゴムのモデルとして平成25年度に調製された、ナノ粒子のナノマトリックス構造を有する天然ゴムのナノマトリックス構造と動的粘弾性の関係を解明するための検討を行った。ナノマトリックスの厚さ、充填されるナノ粒子の直径、数、間隔等を変化させたナノマトリックス構造を有する天然ゴムについて、既設のAnton Paar Physica MCR 301を用いて動的粘弾性測定を行った。また、本申請の万能試験機を用いて引裂試験を行った。動的粘弾性測定では、複素弾性率(E*)の周波数および温度への依存性を測定した。ナノマトリックス構造を有する天然ゴムの複素弾性率は、エントロピー弾性の寄与とエネルギー弾性の寄与に分けられることを見出した。引裂試験では、引裂エネルギーの温度および引裂速度への依存性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質等の非ゴム成分を多く含む天然ゴムのモデルとして平成25年度に調製された、ナノ粒子のナノマトリックス構造を有する天然ゴムのナノマトリックス構造と動的粘弾性の関係を解明するための検討を行った。ナノマトリックス構造を有する天然ゴムの複素弾性率は、エントロピー弾性の寄与とエネルギー弾性の寄与に分けられるという新発見があった。引裂試験では、引裂エネルギーの温度および引裂速度への依存性を予定通り検討した。これらの成果に基づき、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までの研究成果に基づき、タンパク質等の非ゴム成分のナノマトリックス構造を有する天然ゴムに関して、ゴム状平坦領域における力学エネルギーの散逸が低周波数で小さく高周波数で大きくなるという現象の原因を解明するための検討を行う。非ゴム成分の量を変化させることによりナノマトリックスの厚さを制御し、種々の非ゴム成分のナノマトリックス構造を有する天然ゴムを調製する。TEMT法およびFIB-SEM観察により、非ゴム成分のナノマトリックスを精緻に解析し、タンパク質、脂質、炭水化物等の非ゴム成分が形成する階層構造を決定する。種々の非ゴム成分のナノマトリックス構造を有する天然ゴムについて動的粘弾性測定および引裂試験を行い、それらとナノマトリックスの階層構造との関係を解明することを目指す。
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