2013 Fiscal Year Annual Research Report
高温圧電センサを指向した高抵抗新規単結晶材料の開発
Project/Area Number |
25288104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 博明 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00324971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保科 拓也 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80509399)
鶴見 敬章 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70188647)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 圧電結晶 / 高温物性 / 圧力センサ |
Research Abstract |
本研究の目的は、メリライト型結晶の高品質バルク結晶を育成し、高温電気物性を測定し、センサを構造設計・試作・評価することで、高温圧電センサへ展開できる新規圧電単結晶を提案することである。 本年度はCa2Al2SiO7(CAS)結晶に着目し、同結晶の燃焼圧センサ応用への可能性を探った。この燃焼圧センサは高温かつ高圧に耐える必要がある。本申請研究の開始前にCAS結晶が摂氏700度まで耐えることが分かっていたが、圧力に対する挙動については明らかになっていなかった。そこで、応力に対して特定方向で割れやすい特性(へき開)をもつCAS結晶がどの程度の高圧まで耐えることができるかを調査した。圧縮破壊強度を評価したところ、(XYt)45°の結晶基板については、圧電効果を示す応力印可方向に対して45°方向にあるへき開によってのみ破壊され、圧縮破壊強度は約200MPaであることが分かった。また、(ZXt)45°の結晶基板についてはモードが二つ確認され、低い応力で壊れる場合でも約500MPa程度まで壊れないことが分かった。以上の結果を元に燃焼圧センサの新しい圧電素子の形状を考案した。結果、応力がガソリンエンジンで想定される圧力の5倍以上耐え、かつ従来のセンサの1.5倍以上の出力の得られる素子形状が得られた。 以上の結果から、へき開をもつCAS結晶において、圧縮破壊強度を考慮した素子形状を行うことで、他の候補材料に比べ高性能な燃焼圧センサ材料として期待できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に入力した本年度の研究計画は、(1)高抵抗メリライト型結晶の育成と基礎物性の評価、(2)高温電気物性評価システムの構築である。(1)について、前述の「研究業績の概要」にあるように、CAS結晶が燃焼圧センサ用材料として必要な耐高温・耐圧性を有していることを明らかにし、その特性を踏まえた新しい素子形状を提案した。よって、(1)の達成度としては100%である。(2)について、目標は摂氏1000度まで耐えられる正圧電効果測定装置を開発することであったが、作製した装置は現在のところ摂氏700度まで耐えられることが分かった。よって、(2)の達成度は70%である。以上を総合すると、達成度は85%となり、本申請研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本申請研究は高温圧電センサ用の新規単結晶の開発を目的に、CASをベースとした高抵抗メリライト型結晶を探索し、その高品質結晶を育成し、基礎物性・高温電気物性を測定し、さらにセンサの構造設計・試作・評価を行う。平成25年度において、CAS結晶の燃焼圧センサとして最低限必要な基礎物性を明らかにし、燃焼圧センサの新規構造を提案した。この成果を踏まえて、 平成26年度にはCASをベースとした新規メリライト型結晶を育成し、新規結晶の基礎物性および圧縮破壊強度を明らかにする。平成27年度には実際に燃焼圧センサと圧電振動子マイクロバランスの設計・試作・評価を行う。本研究期間終了時には1000℃まで耐熱性をもつメリライト燃焼圧センサとメリライト振動子マイクロバランス(Melilite Crystal Microbalance: MCM)を提唱したい。得られた成果は取りまとめ学会発表および論文発表を逐次行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の助成金に残額が発生し、26年度に繰越しを行ったのは、本研究の目的の一つである高品質結晶の育成には、マクロ的に組成が均一となるような微粒子原料が必要であると考え、微粒子が作製できるスターバーストシステム(4,200千円)をH26年度に購入することに照準を合わせたためである。 微粒子が作製できるスターバーストシステム(4,200千円)をH26年度に購入することを計画しているが、H25年度からの繰越額のみでは本システムを購入ができないため、平成26年度分の予算とあわせた使用計画とする。
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