2014 Fiscal Year Annual Research Report
高温圧電センサを指向した高抵抗新規単結晶材料の開発
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25288104
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 博明 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00324971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴見 敬章 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70188647)
保科 拓也 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80509399)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 圧電結晶 / 高温物性 / 圧力センサ / 周波数特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、メリライト型結晶の高品質バルク結晶を育成し、高温電気物性を測定し、センサを構造設計・試作・評価することで、高温圧電センサへ展開できる新規圧電単結晶を提案することである。 本年度は高温下で使用できる弾性表面波センサを見据え、この素子を設計するのに必要なCa2Al2SiO7(CAS)結晶の基礎物性を明らかにすることとした。圧電材料の基礎物性として誘電率、圧電定数、弾性定数(以下、材料定数)が必要である。そこで、チョクラルスキー法で育成したCAS結晶を所定の基板方位に切り出して、共振・反共振法により10個の独立な材料定数を求めた。また、-30℃から120℃の範囲で温度特性の測定を行った。CAS結晶の圧電d定数はd14とd36の2つで、それらは全てすべりモードであり、それぞれ5.91 pC/Nと0.78 pC/Nとなった。このことから圧電d定数はX(Y)面上の値が大きく、Z面上では低いことがわかった。弾性コンプライアンスも同様の関係が得られ、その温度依存性はX(Y)面上では単調に減少し、Z面上では単調に増加した。これらの結果からCAS結晶の物性にへき開面が大きく影響していることが明らかとなった。次年度はこれらの成果を基に、最大の電気機械結合係数が得られる基板方位をシミュレーションと実測で探索する。 本年度はさらによりセンサ応用として要改善点であるへき開について、その特性が生じにくい新規組成の探索を行った。その結果、Caサイトにイオン半径の大きい元素を置換することで圧縮破壊強度が高くなことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に入力した本年度の研究計画は、(1)CASをベースとした新規メリライト型結晶の育成、(2)新規結晶の基礎物性および圧縮破壊強度の評価である。(1)について、前述の「研究業績の概要」にあるように、ドーパントとしてLaを用い、濃度を変えてドープしたCAS結晶を作製し、その融解性を明らかにした。現在、高品質結晶を育成できる段階にある。よって、(1)の達成度としては90%である。(2)について、新規結晶の評価の前段階として、CAS結晶の誘電率、弾性定数、圧電定数の全定数を求めることができた。これにより圧電振動子マイクロバランスの設計が可能となった。ただし、圧縮破壊強度は測定できていない。よって、(2)の達成度は70%である。以上を総合すると、達成度は80%となり、本申請研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の最終年度である平成27年度には実際に燃焼圧センサと圧電振動子マイクロバランスの設計・試作・評価を行う。メリライト型結晶の見かけの圧電d31定数を利用して、圧力による圧電応答シグナルが効率よく検出されるよう最適化された電極構造を形成させ、センサを試作する。動作試験は応力を印加しながらセンサ出力値を調べることで静圧特性評価を行なう。この静的特性評価システムも自作する。また、高温用の圧電振動子マイクロバランスも試作する。電極材料は耐熱性をもたせるため白金ベースにする。また、鋭敏なシグナルがでるような結晶のカット方位をシミュレーションで探索し、メリライト型結晶の構造を活かしたセンサを作製・評価する。得られた成果は取りまとめ学会発表および論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初参加予定していた米国ペンシルバニア州立大学で開催の国際強誘電体応用シンポジウムへの参加を取りやめたため、その旅費分ならびに学会参加費分の残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規結晶作製のための試薬購入費、本研究に関わる内容での招待講演として国際会議参加2回(カナダ・バンクーバーおよび米国コロンバス)の費用として充てる。
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