2014 Fiscal Year Annual Research Report
中温アルカリ形燃料電池用超水酸化物イオン導電体の開発
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25288106
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比野 高士 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10238321)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水酸化物イオン / 固体電解質 / 燃料電池 / リアクター / センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
Sb5+ドープSnP2O7 を凌駕する新たな化合物を開発するため、同じ五価のV5+, Nb5+, Ta5+、さらに大きな六価のMo6+, W6+カチオンをSnP2O7 にドーピングし、スクリーニングテストを行った。これらカチオンの中で、Mo6+とW6+がポジティブなドーパントであることが判明した。さらに、ドーパント量の最適化を行った結果、Sb5+をドーピングした材料よりも高いプロトン導電率が得られた。 Mo6+とW6+ドープSnP2O5の伝導種を確認する目的で分光学的手法と電気化学的手法によって分析した。XPS では表面に有るMoとW の原子価がともに6+であった。二酸化炭素の昇温脱離法(TPD)によって塩基強度を持つことが分かった。空気をバランスガスに用いた水蒸気濃淡電池の起電力を測定したところ、伝導種が水酸化物イオンである現象を示した。FT-IR にて水酸化物イオンに帰属される吸収バンドも観測できた。H2O とD2O ガス雰囲気化で電気導電率を測定したが、同位体効果はなく伝導種がプロトンでないことが見出された。以上のことから、水酸化物イオン導電体であることが明らかとなった。 また、アルカリ形燃料電池も試験的に試作し、燃料電池電解質として機能することも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通りにSb5+ドープSnP2O7 を凌駕する新たな化合物を開発することができたとともに、次年度の目標であったアルカリ形燃料電池の試作及び性能試験も行うことができた。新化合物は世界トップクラスの燃料電池電解質として機能した。
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Strategy for Future Research Activity |
自動車用燃料電池の電解質としては、ガスバリア性が高く、機械的強度があり、しかも柔軟性に富む薄膜でなければならない。In3+ドープSnP2O7 で確立した無機・有機ハイブリッド化技術を活用して、上で開発した水酸化物イオン導電体粒子を高分子ブロック共重合体樹脂とコンポジット化する。有機樹脂の候補としては、ポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックやポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレントリブロック共重合体共重合体を想定している。テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶媒に有機樹脂を溶解させ、そこに水酸化物イオン導電体粒子を加えて、遊星型ボールミルによって複合化する。その後、高分散スラリーをガラス基板上にキャストし乾燥することで、厚さ数十マイクロメートルの薄膜を製造する。 白金代替電極として、アノードではNi, Pd, Au, Ru もしくはそれらの合金、またカソードではAg, MnO2, ペロブスカイト型酸化物などが知られている。本研究では、触媒としてできるだけ安価な金属や金属酸化物に限定することが好ましく、またそれが中温作動のメリットでもあるので、アノードについてはNi を中心に材料設計する。電極触媒の調製は、蒸発乾固を基本とした含浸法で行い、最終的に金属触媒については水素還元、また金属酸化物についてはカーボン担体が燃焼されない最高温度で空気酸化する。これらの電極触媒に水酸化物イオン伝導性を付与し、反応場(三相界面)を構築するため、そこに上で開発した化合物微粒子を高分散に混合させる。
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Causes of Carryover |
H27年度の実験計画上、物品購入のためのお金が必要なためH26年度の基金分の一部を該当年度に回した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高価な貴金属をはじめとした物品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)