2013 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解コヒーレントフォノン制御を用いた表面原子のインプロセスナノ加工・計測
Project/Area Number |
25289017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 照剛 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00334011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高谷 裕浩 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70243178)
道畑 正岐 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70588855)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フェムト秒レーザー / コヒーレントフォノン / パルストレイン / レーザーアブレ-ション |
Research Abstract |
フェムト秒レーザの高強度電界は,物質表面に自由電子と格子イオンの位相がそれぞれ揃った振動(コヒーレントフォノン)を励起する.複数のフェムト秒パルスを内包するパルストレインビームを照射する場合は,コヒーレントフォノンが重畳し,その振動中にレーザーを照射し,加工をすることが可能になると考えられる.本研究では,パルストレインの時間波形を操作して,コヒーレントフォノン励起状態にある表面をパルストレインビームを用いて加工する装置を試作し,パルストレインビームによる表面加工現象を詳しく調べるための基礎実験を行った. まず,数値解析実験によって,周波数空間上で,光波に波形整形のための位相分布を付加し,所望の時間波形を有するパルストレインビームが作製できるかについて検討をした.その結果,M-Sequenceとよばれる1,0の配列の組み合わせで表現される位相分布を用いて,複数のフェムトパルスが連続してあらわれるパルストレインビームの整形が可能なこと,また,その第一パルスと第2パルス以降のパルスの強度比を制御可能であることを確認した. 次に,フェムト秒レーザの高強度電界は,物質表面に自由電子と格子イオンの位相がそれぞれ揃った振動(コヒーレントフォノン)を励起する.複数のフェムト秒パルスを内包するパルストレインビームを照射する場合は,コヒーレントフォノンが重畳し,その振動中にレーザーを照射し,加工をすることが可能になると考えられる.本研究では,パルストレインの時間波形を操作して,コヒーレントフォノン励起状態にある表面をパルストレインビームを用いて加工する装置を試作し,パルストレインビームによる表面加工現象を詳しく調べるための基礎実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,フェムト秒レーザによるコヒーレント振動励起技術の確立のため,レーザ加工用パルストレインビームの時間波形整形技術の確立に取り組んだ.空間光変調器によって,光の周波数(波長)ごとに異なる位相分布を与えると,フェムト秒パルス列がパルス中に内包されるパルストレインビームが出力される.得られた時間波形は,レーザの時間波形をfsオーダーの時間分解能で計測できるフェムト秒レーザ時間波形計測装置によって評価した. 本研究を遂行するためには,パルストレインビームによるレーザ加工を実現するため,高強度のパルストレインビームを時間整形する必要があり,フェムト秒レーザの時間波形整形時に光量の減衰を抑制する必要がある.そのため,提案する手法では空間光位相変調器上で,大幅なビームの減衰を伴う光の強度変調を行わず,位相のみを変調して波形整形を行い,光の利用効率を光の強度変調を行う場合に比べて大幅に向上させるパルス波形整形技術の確立した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,コヒーレント振動によるレーザ加工現象の検証のため,コヒーレントフォノンの時間分解計測技術の確立に取り組む. フェムト秒レーザ装置を用いてコヒーレントフォノンの時間分解計測を実現するため,ポンププローブ法を用いたコヒーレントフォノンの時間分解計測装置を設計,構築し,その動作検証,装置の調整を行う.コヒーレントフォノン状態にある原子表面では,その振動状態によって光の反射率が変化すことから,コヒーレントフォノン部位に光を照射し,その光反射率をレーザ光照射から熱拡散に至るまでの数十ps(1ps=10-12s)にかけて計測すれば,コヒーレントフォノンの状態を計測できると考えられる. そのため,設計する装置では,フェムト秒レーザから出射したパルスをパルストレインビームをポンプパルスとし,ポンプパルス照射位置にプローブパルス光を照射し,プローブパルス光には,ポンプ光との間に光学的な遅延時間を設け,遅延時間を挿引しながら繰り返しパルス光強度を計測し,コヒーレントフォノンの振幅変化を時間分解計測する.光信号の計測には,パルス光強度の計測信号のSN比を向上させるため,計測機器制御プログラムLABVIEW(ナショナルインスツルメント社)を用いて,ロックイン検出を可能とするコヒーレントフォノンの時間分解計測装置を構築する.
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Research Products
(4 results)