2014 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解コヒーレントフォノン制御を用いた表面原子のインプロセスナノ加工・計測
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25289017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 照剛 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00334011)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コヒーレントフォノン / フェムト秒レーザー / 表面励起加工 / レーザーアブレーション / パルストレインビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,コヒーレントフォノンを励起する過程における格子振動エネルギーの空間的な局在性と,パルストレインビーム入射時の格子振動の振動応答の高速性に着目し,その加工応用を目指す.本計画では,提案するパルストレインビームを用いたコヒーレントフォノン励起加工現象について,フェムトパルストレインビームによるコヒーレントフォノンの励起とその時間応答を可視化するため,レーザー加工面の安置ストークスラマン散乱光を検出するシステムを設計,構築した.また,パルストレインビームによる加工面のコヒーレントフォノンの励起現象を観測するため,遅延時間を変化させながら被加工面の加工と観察を行い,その加工特性を評価した.また,格子振動の評価結果に基づいて,格子温度を定量する技術を確立し,パルストレインビームを用いたコヒーレントフォノン励起面の加工現象について,その加工原理の解明につながる基礎的な実験を遂行している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,コヒーレントフォノンの励起過程における格子振動エネルギーの空間的な局在性と,パルストレインビーム入射時の格子振動の振動応答の高速性に着目し,その加工応用を目指す. フェムト秒レーザーパルスを試料に照射すると,その高強度電場により,調和的で位相の揃った格子振動(コヒーレントフォノン)が励起される.本研究では,フェムトパルスと格子振動の相互作用による高速な振動応答を利用して,格子温度を上昇させ,高速かつ高精度な局所レーザー加工を実現する技術を確立することを目指し研究を遂行した.これまでに,提案手法の妥当性を検証するための基礎的なダブルパルスビーム照射光学システムの構築およびパルスの遅延時間を変化させた場合の加工特性の変化に関する基礎実験を遂行しており,研究はおおむね計画通り,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
加工対象となる基本的な材料(Ge, Si, SiO2等)に,基本のフェムト秒単パルスを照射した際に,励起されるコヒーレントフォノンの振動変位を計測し,一方で,上記と同じ照射条件で,同様のフルエンス,パルス幅,波長分布を持つフェムト秒シングルパルスを用いて励起したコヒーレント振動の振幅を計測する.次に,これらの実験データの比較照合を行い,コヒーレント振動の振幅変位をシングルパルス照射の場合とダブルパルス照射の場合について定量化する.以上のプロセスを経て,コヒーレントフォノン励起時の格子変位量を定量化し,コヒーレントフォノン励起面の格子温度評価を実現することを目指す. さらに,パルストレインビーム照射時のフルエンスを調整し,コヒーレントフォノンが励起される場合と励起されない場合の加工条件を設定して,加工基礎実験を行い,その結果について考察することによって,コヒーレントフォノン励起加工における加工原理を解明することを目指す.
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Research Products
(2 results)