2013 Fiscal Year Annual Research Report
身体性認知科学に基づくフライス加工技能の修得・伝承モデルの構築
Project/Area Number |
25289018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
Principal Investigator |
古川 勇二 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (10087190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 恒雄 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (60648921)
和田 正毅 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (70648948)
岡部 眞幸 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (20152332)
不破 輝彦 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (70219137)
池田 知純 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 准教授 (80648923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感性情報学 / 機械工作・生産工学 / 教育工学 / 認知科学 / モデル化 |
Research Abstract |
本研究では、身体性認知科学、すなわち事象は身体―脳―環境が同期化されて認知されるとの理論に立脚し、フライス加工において、①加工に伴い時々刻々と変化する工作物形状と知覚の関係、②知覚結果に対応した動作と身体的および精神的ストレスの関係、③動作をスキル、ルール、ナレッジとして認知する階層と知覚との関係について分析し、④これらを熟達者と中級者間で比較し、フライス加工技能の身体性認知習得モデルを構築し、⑤その逆課程としての技能伝承モデルに適用することを目的とした。 初年度の25年度は、知覚については視覚(アイマークレコーダ)および聴覚(切削音計測)、ストレスについては自律神経活動(心電図計測)、認知については脳活動(脳血流量変化計測)、身体動作については骨格筋活動(筋電図計測、加速度センサ)についての測定システムを整備した。ストレス、認知、身体動作に関して、熟達者1名(技能検定1級相当)と中級者2名(技能検定2級相当)で平面加工作業中の測定結果を比較した。知覚に関して、聴覚については、中級者16名を被験者として、切削音に対する正常・異常の判断をアンケート調査した。視覚についてはアイマークレコーダが脳血流量変化測定と干渉する問題点があり、問題解決の時間を要するために、視覚評価は25年度は見送った。 自律神経活動評価と脳血流変化評価、筋電図計測結果からは、作業者のレベルの違いによる定性的な変化傾向が見られ、結果を類型化できる可能性を見出したが、被験者数が少ないことから明確な結論を出すには至らなかった。切削音のアンケート調査から、正常・異常音の判断は切込みに応じて判定していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究の目的の第一は、測定システムの構築であり、計画した機器はすべて整備された。目的の第二は、環境認知のための視覚・聴覚・触覚の測定であったが、視覚のために整備した赤外線式アイマークレコーダの納入が遅れたこと及びアイマークレコーダと近赤外線式脳血流装置とが干渉したため、問題解決のため視覚の評価は25年度は見送った。その代わりに、26年度計画に含めていた筋電図測定評価を25年度に実施した。触覚については既存の測定機器の使用を想定していたが、触覚の評価にまでは研究が至らなかった。目的の第三は、中枢神経系および自律神経系の計測であり、熟達者と中級者を被験者として測定評価を行った。目的の第四は、熟達者の加工中の生理情報計測結果から、身体性認知行動の入力変数を整理し、身体性認知行動モデルを策定することであった。被験者の測定結果から定性的・定量的特性を類型化できる可能性は見出されたが、被験者数が少ないことから、モデルを策定するには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度計画で未達成部分として、アイマークレコーダと脳血流変化測定装置との干渉問題を解決した上で、アイマークレコーダによる視線解析を実施する。さらに当初からの26年度計画として、3次元動作分析装置を新規に整備し、他の測定機器等と統合して実験システムを構築し、総合的な身体性認知実験に取り組む。25年度は平面加工のみを対象としたが、26年度は加工の難易度に変化を与えて、熟達者群、中級者群の測定データを蓄積し、身体性認知行動モデル策定のために定量的特性の類型化を目指す。加工の難易度として、25年度に実施した平面加工に直角面創成を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度、26年度のそれぞれにおいて、主要物品の整備を計画して申請したが、26年度の認定金額が予定していた額よりも少なくなり、26年度に整備予定の物品購入に支障をきたす恐れがあった。また、25年度は本格的に多数の被験者の測定を行うには至らなかったので、被験者の謝金、旅費等を支払う必要がなかった。そこで、当初計画より25年度の使用額を抑制し、一部を26年度に繰り越すことで、26年度の研究を円滑に実施できるように配慮した。 26年度は主要物品として三次元動作分析装置(見積額約550万円)の購入を計画したが、認定された26年度直接経費は580万円であり、本装置を購入すると、残額や約30万円となる。そこで25年度の「次年度使用額」と合わせて、主要物品に付随する物品、その他必要な消耗品、書籍等の購入、被験者への謝金、旅費、学会参加費などに使用する。
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Research Products
(8 results)