2014 Fiscal Year Annual Research Report
身体性認知科学に基づくフライス加工技能の修得・伝承モデルの構築
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25289018
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Research Institution | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
Principal Investigator |
古川 勇二 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (10087190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 恒雄 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (60648921)
和田 正毅 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (70648948)
岡部 眞幸 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (20152332)
不破 輝彦 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 教授 (70219137)
池田 知純 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 准教授 (80648923)
寺内 美奈 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 准教授 (40648979)
二宮 敬一 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基, その他部局等, 助教 (20726335)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 身体性認知科学 / 技能伝承 / 技能習得 / フライス盤 / 暗黙知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、身体性認知科学に基づき、フライス加工において①加工に伴い変化する工作物形状と知覚の関係、②知覚結果に対応した動作と心身のストレスの関係、③動作をスキル、ルール、ナレッジとして認知する階層と知覚との関係について分析し、④これらを技能レベルで比較し、フライス加工技能の身体性認知修得モデルを構築し、⑤その逆課程としての技能伝承モデルに適用することを目的としている。 2年目の26年度は、新たに3次元動作分析装置を整備した。研究計画は、熟達者、初心者によるデータの類型化、身体動作の解明、身体性認知行動モデルの策定(ラスムッセンの認知行動分類に基づく)とした。そこで、フライス加工動作の計測実験を行った。測定機器間の干渉の問題から、(1)生体信号計測システム(心電図、皮膚コンダクタンス、脳血流量変化)と(2)3次元動作分析装置とは同時計測が困難なため、分けて測定することにした。 (1)の測定実験では、被験者として熟練者4名、中級者5名を対象とし、エンドミルによる溝加工中のデータを測定した。同時に主観評価も実施した。その結果、作業に対する精神的緊張度、作業に対する慣れ、脳血流量変化において、熟練者-中級者間で違いが見られたが、統計的に有意とは言えないので、今後、被験者数を増やして有意差検定を行う必要がある。(2)の測定実験では、被験者として熟練者1名、中級者2名に対して、一連のフライス作業のうち、ヤスリによるバリ取り作業動作の動作分析を行い、ヤスリ先端の軌跡を技能レベル間で比較した結果、熟練者の作業の的確性を定量的に評価できる結果を得た。 技能者間で作業中の自律・中枢神経活動を比較したことは、技能レベルと認知行動の類型化および認知行動モデル策定につながり、技能習得過程を解明する上で意義がある。三次元動作分析は、技能伝承を可視化できる意味で、分析手法として重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的を達成するための方法論はほぼ確立できたが、被験者数が少なく、統計的有意差を示すことができなかったため、「熟達者、初心者によるデータの類型化」を示すには至らなかった。「身体動作の解明」については、フライス加工作業の一部であるヤスリ作業の解析に止まっており、フライス盤を用いた作業分析は実施できていない。これは脳血流量変化計測と三次元動作計測が干渉する問題が発生したことが一因である。以上のことから、「身体性認知行動モデルの策定」まで至ることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、被験者に高度熟練者(技能五輪出場経験者)を加え、また、職業能力開発総合大学校機械専攻の学生を加えて被験者数を増やす。また、測定機器の干渉を避けるために測定項目を分けて実験する計画を立てている。、感覚入力(アイマークレコーダ)、脳(自律・中枢神経系計測)、身体動作(三次元動作分析)の各種データを揃え、これらをもとに、ラスムッセンの認知行動分類に基づき、スキルベース行動、ルールベース行動、ナレッジベース行動と技能レベルの関連性を解明することを目指す。加えて、効率的な技能伝承方法の可能性を考察する。
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Causes of Carryover |
予定した高度熟練者(技能五輪経験者)を被験者とした実験が26年度中にできなかったため、そのための経費(交通費、宿泊費、謝金)を次年度に残しておく必要がある。また、実験計画の詳細を決定した結果、実験に用いる材料の追加費用が新たに必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度計画では物品費を40万円と計画しており、その中に、材料加工費(機械構造用炭素鋼の六面加工)も含めている。高度熟練者に実験参加をお願いするための経費は、27年度計画の旅費70万円、人件費・謝金20万円に含めている。
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Research Products
(31 results)