2014 Fiscal Year Annual Research Report
高速共焦点マイクロ流動計測法を用いた血管内皮細胞分泌物の輸送現象の解明
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25289028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉井 康彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90345108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱田 公一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40156592)
茂木 克雄 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20610950)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオ流体 / 血流 / 血管内皮細胞 / 流体計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
○グリコカリックスの位置・厚さの計測法の開発 血管内皮細胞表面を覆っているグリコカッリクスの機能の解明のため、超解像度顕微鏡を用いて血管内皮細胞表面を覆っているグリコカッリクス層の位置と厚さの計測法を開発した。グリコカリックスを構成する糖鎖と選択的に結合する蛍光染料を用いて、グリコカリックスを染色し、超解像度顕微鏡の励起光強度やSTED光強度、走査間隔などの計測条件の最適化を図り、光学的な限界以下の空間分解能である80nm程度の空間解像度で計測することに成功した。マイクロ加工装置を用いて作成したPDMS製マイクロ流路内で培養したヒト臍帯静脈内皮細胞のグリコカリックスの厚さは、24時間培養後に1.27μm程度であることが計測された。
○グリコカリックス層極近傍の速度分布の計測 開発したグリコカリックスの位置・厚さの計測法および高速共焦点マイクロPIV法を用いて、幅400μm、高さ100μmのマイクロ流路底部に培養したヒト臍帯静脈内皮細胞のグリコカリックスの極近傍の3次元速度分布を計測した。速度計測の空間分解能と計測精度を向上させるため、細胞への粒子の付着を避けるためポリエチレングリコール(PEG)修飾した粒子径100nmの蛍光有機シリカ粒子を用いた。速度分布の分解能が、250nmを達成した。得られた速度分布は、層流の理論解からのずれが見られ、グリコカリックスによる流れ場への影響を捉えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超解像度顕微鏡を用いたグリコカリックスの位置・厚さの計測法の開発に成功し、光学的な限界以下の空間分解能である80nm程度の空間解像度を達成し、グリコカリックス極近傍の速度分布計測を行い、得られた速度分布は、層流の理論解からのずれが見られ、グリコカリックスによる流れ場への影響を捉えることができており、計画通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、開発したグリコカリックスの位置・厚さの計測法および高速共焦点マイクロPIV法を用いて、グリコカリックス近傍の速度場を詳細に調べる。特に、グリコカリックスの厚さと速度場との関係を調べる。さらに、細胞に付加するせん断の応力の変化や、薬剤の投与や酵素によるグリコカッリクスの除去の影響を調べる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は33万ほどであり、これが生じた理由は計画していた海外で開催される研究集会の参加旅費が、格安航空券などを利用したため、少なくなったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロ流路の作成のための装置利用料や細胞培養、実験のための消耗品、研究集会での発表のための旅費に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)