2013 Fiscal Year Annual Research Report
液晶ドロップレットを用いた無定形マイクロアクチュエータの開発
Project/Area Number |
25289035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
蝶野 成臣 高知工科大学, 工学部, 教授 (20155328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 知宏 高知工科大学, 工学部, 教授 (60309721)
岡 宏一 高知工科大学, 工学部, 教授 (10160649)
西脇 永敏 高知工科大学, 工学部, 教授 (30237763)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 流体工学 / 非ニュートン流体力学 / 液晶 / ドロップレット / マイクロ・ナノデバイス |
Research Abstract |
液晶は,結晶特有の異方性を持ちつつ,巨視的には液体のように振る舞うので,任意形状のケーシングに適合する.この形状適合性をさらに進化発展させ,例えば薄膜からなるソフトケーシング中に液晶が充填されたアクチュエータは,駆動中に周囲環境に応じて自在に形状が変化するので,如何様な形状の間隙でも駆動が可能であり,究極の形状適合性アクチュエータといえる. 本研究が一定の成功を収めれば,血管内を自律走行する医療ロボットや,細胞やDNAなどの生体試料を輸送するデバイスなど,密閉微小空間で自在な操作が可能なアクチュエータの開発に繋がる.平成25年度の実施内容と得られた成果を以下に示す. 実験に使用した液晶は4-cyano-4’-pentyl biphenyl(5CB)である.ガラス基板上に,一定間隔を隔てて一対の矩形電極を蒸着し,その上から垂直配向膜を成膜した.直径約50μmの液晶滴を,液晶滴が一方の電極端と接するように基板上に滴下した.電場印加後の液晶滴の挙動を真上と真横から動画撮影し,これを画像解析することで液晶滴の形状変化と移動量を調べた.その結果,電場印加によって液晶滴が駆動することを実験的に確認するとともに,移動量は電場強度の増加とともに増加することを明らかにした. 液晶滴が駆動するメカニズムを解明するため,液晶滴内流れの計算プログラムを作成し,電場印加直後に液晶滴内に発生する加速度分布を見積もった.その結果,液晶滴の端面近傍で斜め下方の加速度が生じており,これが液晶滴の駆動力であることがわかった. 得られた結果は日本機械学会年次大会(岡山),日本流体力学会年会(東京),日本機械学会流体工学部門講演会(福岡),日本機械学会中四国支部研究発表会(鳥取)で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画の中で,力学特性に優れた液晶の新規合成については期待通りに進展しなかった.その代わり,液晶滴の駆動実験は,パラメータが駆動特性に及ぼす影響を詳細に調べるなど計画以上に進んだ.総合的には,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
ガラス平板上に矩形電極を複数個製作することで,液晶滴の連続駆動を試みる.また,液晶滴を柔軟性薄膜で密閉したものを製作する. 昨年度計画しながら満足な成果が得られなかった液晶の新規合成については,再度試みる予定である. 国内学会と,Pacific Rim Conference on Rheology(オーストラリア),International Liquid Crystal Conference(アイルランド)で成果発表を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
力学特性に優れた液晶の新規合成を試みたが,既存液晶の特性を上回る液晶を合成できなかった.駆動実験を計画通り進めるために,とりあえず市販の液晶1種類を購入した.合成用の試薬や消耗品等を当初の計画通り購入しなかったため,次年度使用額が生じた. 平成25年度,駆動実験については当初の計画以上に進展したので,その分,平成26年度は液晶の新規合成とその粘弾性測定に時間を割く予定である.従って繰り越し額については平成26年度に適切に使用する.
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