2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25289041
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
張 興 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 主任研究者 (40236823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 厚史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10243924)
高田 保之 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70171444)
迫田 直也 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30532337)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 熱物性 / ラマン分光 / MEMS / フォノン |
Outline of Annual Research Achievements |
フォノンの平均自由行程が非常に長いがゆえに室温でも1ミクロン程度で長さ依存性が発現すると予測されているカーボンナノチューブ(CNT)の熱伝導率に関する実験的研究を昨年度に引き続いて行った。単層CNTの実験と並行して、今年度は多層CNTと単層グラフェンについても計測を行った。多層CNTについては、単層CNTと同様に50ミクロン幅の溝上に懸架された状態にしたうえで、新しくレーザーフラッシュ-ラマン分光法を開発して非接触で熱伝導率を調べることに成功した。グラフェンについては、CVDで合成した試料をシリコン基板に転写したうえでMEMS技術でその基板に溝を設けながら幅169nm長さ846nmのサイズの試料が架橋するように加工して、直接通電加熱によって熱伝導率の温度依存性を計測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単層CNTについてはやや予定から遅れているものの、多層CNTを用いた新しい計測法の開発に成功し、単層グラフェンの計測についても見通しが立ったため、全体としてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、弾道的熱輸送が発現すると考えられるカーボンナノチューブとグラフェンの熱伝導率計測を進める。ナノチューブについてはRAMAN分光を用いて、単層グラフェンについては数100ミクロンといった長尺の試料を懸架することは難しいので、シリコン基板に転写し密着した状態から等方性エッチングと臨界点乾燥によってT型センサと一体的に懸架状態へと形成して熱伝導率の長さ依存性を把握する。これらによって得たデータをナノ流体に応用した場合の実験結果と比較して、最終的には産業的に有用な形で体系化する。
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Causes of Carryover |
既存のラマン分光装置の精度を向上させるために購入を予定していた機器の性能が不十分であることが判明したため、同等の代替機を自作する作業を複数年度に渡って行っている。また、それを補完する実験システムの構築も継続的に行っているため次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ラマン装置の改良については海外の専門家とも連携しながら継続するが、並行して、集束イオンビームやMEMS技術を組み合わせてグラフェンなどのナノ材料にサイズ変化を与えた上で熱伝導率を計測するという実験に取り組むことで当初の目的を達成できる予定である。そのための物品費・共同利用装置使用料・旅費等に経費をあてる。
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Research Products
(10 results)