2014 Fiscal Year Annual Research Report
ガス濃縮用吸着筒内の水分吸着量を小型NMRコイルで計測する装置と解析モデルの開発
Project/Area Number |
25289044
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 邦康 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50272703)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガス濃縮筒 / 水分吸着 / NMR計測 / 解析モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
「圧力スウィング吸着法」(PSAと呼ぶ)を用いたガス濃縮器では、ゼオライトなどのガス吸着層に水分が吸着することによってガス吸着性能が大幅に低下する。筒内水分量の短時間・空間分布計測が可能となり、吸着性能の劣化を時系列的に評価することを目的として、PSA操作時にゼオライト吸着筒内に水分が吸着されていく様子を小型NMRコイルとNMR(核磁気共鳴)法を組み合わせて計測する。 H26年度には以下の研究を行った。 ・ゼオライトの含水量を0.5~20wt%まで調整し、楕円形のNMR受信コイルでNMR信号強度を取得した。エコー時間を1ms程度とすると、エコー信号がFID信号と重なり、エコー信号強度が安定して計測できない。このため、勾配磁場を印加してFIDを短くしてエコー信号を取得した。この計測条件下で検定曲線が作成できた。 ・複数の小型NMRコイルをゼオライト吸着筒内に設置し、PSA 操作時に得られるNMR信号を同時多点計測システムで計測した。この際、PSA操作の加減圧タイミングに同期させて計測できるようにシステムにトリガー制御を施した。 ・PSA操作時にゼオライト吸着筒に供給される空気はバブラーを通して飽和水蒸気で供給し、水分吸着の加速実験を行った。約2ヶ月のPSA操作の継続実験から、空気供給側から順次、水分の吸着が生じていることが分かった。 ・水が吸着・脱着する際の発熱・吸熱量を考慮したPSA操作時のゼオライト吸着筒内のガス吸脱着モデルを構築することを目的として、PSA操作をモデル化した。そのモデルは、酸素・窒素の質量保存式、拡張Langmuirの吸着式、吸着時の発熱・吸熱を含むゼオライトのエネルギー方程式、流動仕事を含むガスのエネルギー方程式、ガスの流速の式で構成される。これらを連立させ、PSA操作でのゼオライト充填層内の酸素・窒素濃度、ガス流速、ガス温度、ゼオライト温度を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は計画通りに進める。具体的には以下のように実験と解析を進める。 (a)実験:複数の小型NMRコイルによる吸着筒内の水分分布の時系列計測 ゼオライトに吸着した水分量(等温吸着線)とNMR信号強度の関係を取得:ゼオライトに吸着した水分量を質量増加とカールフィッシャー水分計と併用して計測し、NMR信号強度の関係を取得する。温度を増減させた際の関係も得る。PSA操作時の筒内の水分量・温度分布を時系列で取得し、ガス濃縮性能との関連性を取得:小型酸素濃縮器を用いてゼオライト充填層をPSA操作して、酸素濃縮を行う。装置の空気供給口にはバブラーによって空気を飽和水蒸気濃度にした空気を供給する。水分吸着の加速試験を行い、ゼオライトに吸着する水分量の時間変化を計測する。排出酸素濃度を計測し、関連性を評価する。 (b) 解析:水の吸脱着に伴う筒内温度分布を加味した熱・物質移動解析 水の吸着・脱着のモデル化とそれに伴う発熱・吸熱が生ずる際の筒内温度分布の解析:ゼオライトに水が吸着・脱着する際の発熱・吸熱量を考慮したPSA操作時のゼオライト吸着筒内のガス吸脱着モデルを構築する。これによりPSA操作でのゼオライト充填層内の酸素・窒素濃度、ガス流速、ガス温度、ゼオライト温度を解析する。筒内温度分布を加味したガス吸脱着モデルの構築とガス吸着性能の劣化評価:水がゼオライトに吸着することによる酸素・窒素の吸着量の低減を吸着等温線に考慮し、ガス吸着の劣化が解析で再現されるかを確認する。この時のゼオライト充填層の温度変化の測定値との比較を行う。これらを元にモデルの改良を行う。
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