2013 Fiscal Year Annual Research Report
クラスレートハイドレートを用いた高効率・低環境負荷二酸化炭素分離技術の開発
Project/Area Number |
25289045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大村 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70356666)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 二酸化炭素分離 / ハイドレート / 結晶成長 / 相平衡 |
Research Abstract |
研究の目的と研究実施計画に記した通り,二酸化炭素分離に適した第二ゲスト物質を選定するための相平衡条件測定実験と結晶成長観測実験を主要な実験研究の課題として年度当初から実施し,年度の後半には連続的な分離実験の実験手法の確立と,連続分離の特性を理論的に予測するための熱力学シミュレーションの開発に着手した.相平衡測定実験ではまずテトラブチルフォスフォニウムクロライド系での熱力学的な特性を解明し,テトラブチルフォスフォニウムブロマイド系とほぼ同等かやや良好な物質であることを明らかにした.また,構造IIハイドレートを生成するテトラヒドロピラン系での実験からCO2の貯蔵密度という観点では構造IIハイドレートがイオン系セミクラスレートハイドレートよりもはるかに良好な物性を有することがわかった.テトラブチルアンモニウムブロマイド+CO2系での結晶成長観察の結果,この系における優先的なハイドレートの生成・成長サイトはテトラブチルアンモニウムブロマイド水溶液中であることを明らかにした.多くのハイドレート生成系では流体ゲスト相と水溶液相の界面が優先的な結晶成長サイトとなるという一般的な特性とは異なるものが明らかにされたことになる.これはハイドレート法による二酸化炭素分離のプロセス設計上有用な知見と考えられる.連続分離実験の進捗は予備的な実験の実施に留まったがこれもほぼ計画通りである.熱力学シミュレーションについては多成分のゲスト物質系を対象とした計算を行うための理論的・数値的な枠組みの構築は完了し,今後実際の操作条件との対応を考えつつ本格的にシミュレーションを実施していく準備は整った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記した通り,研究は概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は結晶成長,相平衡という基礎的な実験研究に加えて,連続分離実験を本格的に進めていく計画である.高圧のガスを連続的に処理する実験研究であるため安全面に十分配慮して計画に対応した成果をあげられるよう努めたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
連続生成実験は結晶成長実験の結果を踏まえて実験計画を確定していく必要がある.初年度に結晶成長実験で従来の知見とは大きく異なる現象が見られたため結晶成長実験に注力した結果,連続生成実験に要すると考えていた予算が執行されないことになった. 初年度結晶成長実験に注力した分,二年度目は連続生成実験を加速して実施することで前年度残額を執行する計画である.
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