2013 Fiscal Year Annual Research Report
メーキャップ化粧品の客観的光機能評価指標とその評価用標準疑似皮膚の開発
Project/Area Number |
25289046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 純 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40210455)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ふく射 / 散乱 / 半透明 / 光物性 / 逆解析 / 計測法 / 標準化 / 生体 |
Research Abstract |
基礎化粧品であるファンデーションは,肌全体を美しくみせるベースメイクにおいて主要な役割を担っている.本研究では,これまで視感に頼っていたファンデーションの機能評価を,客観的に評価するための物理的指標の確立を目的としている.本研究では,(1) 皮膚の光物性3次元分布を計測するための手法の検討と,その実証を行うための計測装置開発,(2) 計測した光物性分布をベースに,安定した評価を可能にする光学的に人と類似な標準疑似皮膚の開発,および,(3) その標準疑似皮膚を用いたファンデーションの遮蔽効果と,その透過特性についての評価指標の確立,を行うことを予定している.以上を通じて,これまで標準的な評価指標が無かったために手探りの状態にあった化粧品開発を,系統的に行うための基盤を築くことにある. 研究初年度に当たる平成25年度では,まず,皮膚の奥行き方向の光物性分布を計測するための手法を提案,一部,その実証実験を行っている.この成果は,平成26年8月の国際伝熱会議において発表される.さらに,皮膚表面に沿う方向の光物性分布を計測するために,その手法の検討と,試作装置による実証実験を実施した.分解能は高くないが,実現の可能性を確認している. 以上に加えて,平成25年度では,人の皮膚と同等な光物性を有する標準疑似皮膚の開発を行っている.ウレタン樹脂に染料および(無吸収の)散乱性粒子を添加することで,吸収係数,散乱係数の独立した制御が可能であるかを検討した.染料粒子がわずかにウレタン樹脂の散乱性に影響することが明らかとなったが,制御の範囲内であることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画段階では,皮膚の光物性の(皮膚表面に沿う)2次元分布を計測し,それと同等な光物性をもつ疑似皮膚の作成に取り組む予定であったが,現在,深さ方向を含めた3次元分布の計測に取り組んでいる.目標が高度にはなったが,研究は計画通り順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚の光物性計測に関しては,このまま予定通り進めていく.疑似皮膚に関しては,現在進めている一様な光物性をもつ疑似皮膚の作成と並行して,年齢別の標準皮膚の製作を目指し,肌むらをも再現した疑似皮膚の作成にも取り組む.平成26年度からは,肌むらを再現する手法について検討を開始する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では,当初,皮膚の光物性分布のスペクトルを計測するために,単色レーザー群を購入し,使用することを予定していた.しかし,最近になって,可視光域における波長可変光源が,国内で容易に調達可能となっために,レーザー群の代替品として,そちらを購入した.その差額分が次年度繰越金となった. 波長可変光源をレーザー群の代替品としたために生じた差額は,申請時より減額された交付金を補うために用いる,具体的には,減額により見合わせることを検討していた,太陽光シミュレータを購入する予定(平成27年度)である.加えて,当初予定していた皮膚の光物性の2次元分布計測を,3次元に拡張したために必要となる光学系の試作,開発費に当てる.なお,本研究では,散乱位相関数の計測も予定しており,これには購入した波長可変光源では,強度的に十分でない,この散乱位相関数の計測に必要なレーザーの購入に充てる(平成26年度).
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Research Products
(5 results)