2014 Fiscal Year Annual Research Report
創成流場と非線形相互作用する昆虫飛翔の適応力のロボテック・バイオロジーによる解明
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25289062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉田 啓 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60206662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯間 信 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90312412)
平井 規央 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (70305655)
横山 直人 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80512730)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 昆虫 / 飛翔 / 非線形相互作用 / 適応能力 / ロボテック・バイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
羽ばたきにより創成される流場環境を用いてマヌーバという適応的運動を実現するという観点から,蝶が適応的運動能力(運動知能)を発現するメカニズムの解明を目的とする.具体的には (1) 蝶が創成環境との非線形相互作用を如何に利用するか,(2) 生体の蝶の感覚器と身体機構とその入出力関係の解明について,生体の蝶の実験観測による生物学的な解析と様々なモデルの構成をとおした工学的な実現,それらの困難を補うロボテック・バイオロジーを用い,システム論的アプローチにより調査する. 創成流場との非線形相互作用によるマヌーバ発現について2次元理論モデルにより研究した.前年度まで,はばたき運動の一定時間停止が剥離渦の生成挙動に変化を生じさせ,これが定常飛行時に形成されていた渦構造の一時的な変化をもたらしてある準定常飛翔状態を実現出来ることがわかっていた.しかしこの生成挙動をマヌーバに役立てるためには与えられた環境下における剥離渦の生成挙動を予測する必要がある.そのため本年度は非粘性流体に単一渦近似法を適用したモデルを用いてこの問題に取り組んだ.導かれる方程式を陰的に解くことで前述の要請を満たすことが出来ることを示した.この計算法を実際に平板及びV字型物体に適用し,剥離渦の挙動とそれに伴う力やトルクの計算を行った. 2次元蝶モデルを用いて,羽ばたきによって生成される力の作用点と蝶の重心との位置関係に着目し,羽ばたき位置がより後方の場合に能動的に制御することなく安定な飛翔が実現されることを示した.また,流体構造連成問題における姿勢安定性を調べるために,平板のピッチ運動の安定性について検討し,流れが大迎角をもつ平板のピッチ運動を安定化させることがわかった. 材料としてアサギマダラを用い,羽ばたき飛翔中の筋電計測のための予備実験を行った.電極を胸部の飛翔筋に取り付け,その後,羽ばたきが可能なことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の工学的アプローチの項目「C3.創成流場との非線形相互作用によるマヌーバ(3Dモデル)」において,創成環境との弱い相互作用を用いたマヌーバを行う制御系は構築できたが,強い相互作用を用いた素早いマヌーバを発現する制御系については期待していたほど検討が進まなかった.ただし,マヌーバの理論的に取り扱いに有用と思われる2次元モデルを作成し,基礎的な検討を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度内に遅れを取り戻すよう,研究を実施する.
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