2013 Fiscal Year Annual Research Report
低損傷プロセスによる窒化物半導体表面のナノスケール制御と高感度化学センシング
Project/Area Number |
25289079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (80149898)
本久 順一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60212263)
谷田部 然治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 研究員 (00621773)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 化学センサ / 半導体物性 / 表面・界面物性 / 電子・電気材料 / ナノ材料 |
Research Abstract |
窒化物半導体表面の電気化学的基礎特性を明らかにし、提案する低損傷プロセスの基礎となるエッチング技術に取り組んだ。具体的には、窒化物半導体表面と電解液界面の電気化学的基礎物性を明らかにし、多孔質ナノ構造の形成に成功した。また、窒化物半導体表面のエッチング制御に関して、エッチング量は電荷量で制御可能であること、AlGaNに対しGaNは大きなエッチング選択比がとれることを明らかにし、多孔質構造の形状制御に繋がる基礎的知見を得た。 1. 窒化物半導体(n-GaN, p-GaN, AlGaN)と電解液界面の電気化学的特性を明らかにした。n-GaNおよびAlGaNに対しては、もともと陽極反応に要する正孔が少なく、陽極反応には、光(紫外~可視)を照射するか暗中では8V以上の大きな電圧が必要であることが分かった。一方、p-GaNは正孔密度が高く、約1.5Vの低電圧条件で陽極反応が進行することが分かった。 2. 窒化物半導体(n-GaN, p-GaN)の電気化学エッチング法を確立した。酸性電解液を用い、上記1で得られた陽極酸化条件において、半導体表面のエッチングが進行することを示した。エッチング量は通過電荷量で制御可能であり、AlGaN層がエッチングストップ層となることを明らかにした。これは、GaN/AlGaN構造において選択的なGaNのエッチングと、多孔質ナノ構造の深さ制御に繋がる結果である。 3. 光支援電気化学プロセスによりn-GaN基板に対して多孔質ナノ構造を形成することに成功し、孔の寸法の精密な制御に向けた基礎的知見を得た。初期に形成されるエッチピットを起点とし、電界に沿った深さ方向(基板垂直方向)と、孔径を拡大させる横方向のエッチングにより孔が形成されていくことを、通過電荷量と電子顕微鏡による観察結果との相関により明らかにした。これにより、孔の形状制御に向けた実験準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目的としていた、窒化物半導体の電気化学特性とエッチング条件を明らかにし、当初の計画とおり、多孔質ナノ構造の形成に成功した。また、学術誌4編(うち査読付き2編)、国内外の学会14件(うち招待講演2件)の研究成果の公表があり、初年度として順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成26年度)も事業交付申請時の研究計画に従って実施する。主として、多孔質ナノ構造の形状制御と電気的・光学的物性の評価に取り組む。 1. 窒化物多孔質構造の精密な位置制御と直線性の改善:多孔質構造の孔の配列制御と寸法(孔径・深さ)制御を行う。今年度に最適化した形成条件を継承しつつ、さらに孔形成の起点となる凹凸加工した基板を初期基板として用いて、より精密な孔の位置制御を行う。また、光市援用局酸化プロセスとして、基板裏面から光を照射する方法について検討し、孔の直線性の改善に取り組む。 2. 窒化物半導体多孔質構造の電気的・光学的物性評価:フォトルミネッセンス法と紫外・可視・赤外分光法を用いて、多孔質構造内部のポテンシャル状態を明らかにする。バンドシミュレーターによる解析結果と比較しながら、孔内部の表面電位変化と電気的特性の相関を明らかにする。 3. AlGaN/GaN ヘテロ構造への電気化学エッチングプロセスの適用:窒化物半導体へテロ構造に対し、電気化学的手法による表面の低損傷エッチングプロセスを開発する。様々な条件でエッチングを施した加工表面に対し、XPS法による化学分析と、AFM、SEMなどの構造評価により、電気化学条件と表面状態の相関を明らかにし、低損傷加工技術を完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GaN基板代として予算を計上していたが、効率的に実験が進み予定より基板の使用枚数少なかった。このため、研究の進展にあわせて効果的に使用することが望ましいと判断し、次年度使用額が生じた。 今後、多数必要になると思われるGaN基板と、研究の進展にあわせて必要となった備品:朝日分光社製モノクロメータの購入に充てる計画である。
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Research Products
(20 results)