2013 Fiscal Year Annual Research Report
多成分同時測定ワンチップガスセンサのためのセルフアラインメント局所陽極酸化技術
Project/Area Number |
25289080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 康男 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (40312673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庭野 道夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20134075)
平野 愛弓 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (80339241)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガスセンサ / 陽極酸化 / 酸化チタン / ナノチューブ |
Research Abstract |
本研究では、目的を達成するために、(1)局所陽極酸化技術の確立(薄膜堆積技術、パターニング技術、陽極酸化技術)、(2)表面修飾技術及び(3)ガスセンサの応答特性の評価・分析が必要であり、平成25年度において主にそれらの技術の構築に必要な装置の整備を進め、微小ガスセンサ構築のためのプロセスを構築した。(1)の局所陽極酸化技術の構築では、陽極酸化過程に及ぼす電解液中の水の影響を詳細に調べ、それを制御すること及び保護膜堆積方法の改善により安定して局所陽極酸化を行えるようにした。また、TiO2ナノチューブの壁厚の薄膜化により、センサの高度やリニアリティが大幅に向上した。しかし、その特性は壁厚に敏感であり、安定したセンサ特性を得るためには壁厚の薄膜化について高い制御性が必要であることがわかった。今後、陽極酸化後によるワイドニングプロセスではなく、新しい手法の開発が必要あると考えられる。(2)の表面修飾技術に関しては、水素に対する検出電流が不安定であったが、水素中で熱処理することにより解決できることがわかった。また、同一基板上の異なるセンサに電気化学的に触媒金属を担持することに成功し、同一基板上に異なる特性を有するセンサを構築できることを示した。この成果は、本研究の目的である特性の異なるセンサの集積化が可能であることを示唆している。(3)ガスセンサの応答特性の評価・分析については、赤外分光法用いたTiO2ナノチューブ表面観察装置を構築し、その表面反応を観察することに成功した。また、流量計及びニードルバルブによるガス導入システムを構築した。さらに、新規に購入したソースメータにより2つのセンサを同時に評価できるシステムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の予定では、(1)局所陽極酸化技術の確立では、i)薄膜堆積・パターニング技術の確立及びii)陽極酸化プロセスの制御により、局所陽極酸化プロセスの安定化を目的としており、本年度は前述の通り、それらを達成した。また、(2)表面修飾技術では、熱分解法による触媒金属を担持しその触媒金属の効果を調べる予定であったが、前述の通り、平成26年度に予定していた電気化学的手法による触媒金属の担持を前倒しで行い、それに成功し、同一基板上に異なる特性を有するセンサを構築できることを示した。この成果は、本研究の目的である特性の異なるセンサの集積化が可能であることを示唆しているものであり、大きな進展といえる。さらに、赤外分光法用いたTiO2ナノチューブ表面観察装置を構築し、その表面反応を観察することに成功している。ただし、センサの応答特性の評価を優先したため、マスフローコントローラによるガス導入システムの構築を行うことができなかったので、これについては、次年度行う。以上のように、今年度の研究の目的は、十分に達成しており、一部、次年度予定の成果まで含まれている。したがって、現在までの達成度は、「当初の計画以上に進展している。」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、目的を達成するために、(1)局所陽極酸化技術の確立(薄膜堆積技術、パターニング技術、陽極酸化技術)、(2)表面修飾技術及び(3)ガスセンサの応答特性の評価・分析が必要であり、平成25年度において主にそれらの技術の構築に必要な装置の整備を進め、微小ガスセンサ構築のためのプロセスを構築した。そして、微小ガスセンサを再現性よく構築することが可能となった。しかし、TiO2ナノチューブの壁厚にセンサ特性が敏感であり、TiO2ナノチューブの壁厚の薄膜化プロセスの制御性を向上させる必要があることがわかった。そこで、これまでのワイドニングプロセスではなく、制御性の高い陽極酸化による壁厚の制御を行い、壁厚の薄いTiO2ナノチューブ膜の直接形成技術を確立する。 さらに、平成25年度において電気化学的に電流を流したセンサにのみ触媒金属を担持できることも確認した。この成果を踏まえ、さらに、センサ特性を制御するため、触媒金属を均一に堆積させ、その量を制御できるように触媒金属担持技術を最適化し、同一基板上に作製された各々のマイクロセンサに異種触媒金属を堆積するための技術を開発する。これらによりマイクロセンサアレイ構築技術を確立する。また、マスフローコントローラによるガス導入システムの自動化を行うことにより、複数ガスの同時導入が可能なガス導入システムを構築し、ガスの選択性についての評価も行う。これにより、複数のガスセンサの応答特性の違いによる吸着ガスの推定を試みる。最終的には、これらの結果を総合し、ガスセンサ応用としてのTiO2ナノチューブ膜及び局所陽極酸化プロセスの有効性及びガスセンサの集積化の実現可能性について研究を総括する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では、マスフローコントローラにより、ガス流量を調整し、それをコンピュータ制御する予定でいたが、本年度は、ガスセンサの高感度化及び触媒微粒子の担持を優先し、ガス流量調整システムは、ガス種の絞り込みができなかったため、既存のニードルバルブ付きフローメーターによるガス供給システムを改造することにより、研究を進めたため、当初計画で予定していたマスフローコントローラを購入しなかったため。 多成分ガスの同時検出を可能とするガスセンサを評価するためには、流量が制御された複数のガスの導入システムを構築する必要があり、昨年度、構築できなかったマスフローコントローラによるガス導入システムを構築する。その他は、当初計画の通り、研究計画を遂行する。
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Research Products
(17 results)