2014 Fiscal Year Annual Research Report
高性能量子光源のための新たな等電子トラップの探索と特性制御に関する研究
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25289091
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐久間 芳樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, グループリーダー (60354346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池沢 道男 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 准教授 (30312797)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子閉じ込め / 量子ドット / 結晶工学 / 半導体物性 / フォトニック結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に沿って、(1) 量子井戸構造を用いたGaAs中のN等電子準位の制御、および(2)フォトニック結晶共振器によるGaAs中のN等電子準位のパーセル効果に関する研究を進めた。 (1)では、量子井戸の中央にN不純物をδドープしたAlGaAs/GaAs:N/AlGaAs構造を作製し、マクロPLを使って等電子トラップからの輝線的なNN_A発光(841nm)のGaAs井戸幅依存性を調べた。GaAs井戸幅を200nm~5nmの範囲で変えたところ、井戸幅が200nm~100nmの場合にはNN_Aからの発光が観測されたが、100nm以下では観察されなくなった。従来よりAlGaAsバリア層無しのGaAs:NサンプルでNN_Aの低エネルギー側(846nm付近)に強度の弱いブロードな発光を確認していたが、今回作製したGaAs井戸幅100nm以下のサンプルではNN_Aに代わってこのブロードな発光が主となり、かつ井戸幅の減少に伴って量子閉じ込め効果によるエネルギーシフトが観察された。NN_Aが空間局在した等電子トラップからの発光であるのに対し、上記のブロードな発光はGaAsN混晶バンドに関与している可能性がある。 (2)では、昨年度末に作製したフォトニック結晶共振器について、L3欠陥部からの顕微PL測定を行った。この結果、NN_A濃度を比較的高く設定したサンプルで、フォトニック結晶に共鳴したと思われるNN_Aからの強いPL発光の観測に成功した。発光スペクトルの形状はローレンツ型であり、理論どおり極めて強く直線偏光していることも確認した。また、PL発光の自己強度相関を測定したところ、g(2)(t=0)=0.75程度のアンチバンチングを観測した。これらの結果はL3欠陥部に数個程度のNN_Aが存在する可能性を示唆しているものの、当初の目標としていた単一光子のパーセル効果による増強の端緒をつかんだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GaAs:N等電子トラップをドープしたL3欠陥型フォトニック結晶共振器のPL評価を進め、共振器モードに共鳴した強い自然放出光の観測に成功するなど、最終年度に向けて期待できる研究成果が得られているため
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Strategy for Future Research Activity |
AlGaAs/GaAs:N/AlGaAs量子井戸構造による等電子トラップの制御については、PL励起スペクトル測定を行うなどして、窒素等電子トラップのエネルギー準位の解明を行うとともに、高温動作の可能性についても調べる。 フォトニック結晶共振器によるGaAs:N等電子トラップのパーセル効果の研究については、NN_Aドープ量の最適化を図ったサンプルについても詳しい評価を進め、単一のNN_Aに対するパーセル効果の実証を目指す。 また、新たに窒素等電子トラップの共鳴励起発光の研究に着手し、DBR挿入による光取り出し効率の向上等を行って、コヒーレントな単一光子の発生を目指す。
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[Presentation] Recent development of droplet epitaxy in NIMS: InAs QDs on InP(111)A for telecom-application and reconstruction-dependent Ga droplet formation on GaAs (100)2014
Author(s)
T. Mano, A. Ohtake, T. Kuroda, N. Ha, X. Liu, K. Mitsuishi, A. Hagiwara, J. Nakamura, A. Castellano, S. Sanguinetti, T. Noda, Y. Sakuma, and K. Sakoda
Organizer
2nd Workshop Droplet Epitaxy of Semiconductor Nanostructures
Place of Presentation
Milano (イタリア)
Year and Date
2014-05-16 – 2014-05-16
Invited
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