2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノヘテロ構造型自己組織単分子膜を用いた高移動度有機トランジスタの作製と回路応用
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25289095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 毅 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80372407)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機トランジスタ / 自己組織化単分子膜 / フレキシブルエレクトロニクス |
Research Abstract |
本研究では、申請者が世界に先駆けて開発した自己組織化ナノヘテロ構造(T. Sekitani, et al., Science, Vol. 326, 1516 (2009).)を応用したフレキシブル、高移動度、高信頼性の有機トランジスタ回路を作製することを目的としている。 今年度は、高い絶縁性を持つSAMの末端基にπ共役系有機半導体分子を成膜し、有機半導体と絶縁体が融合した「ナノヘテロ構造型SAM」を合成し、この均一な製膜プロセスを確立する。特に、SAMをAlOx表面に形成する前に、酸素プラズマ照射プロセスを行うが、この照射強度と照射時の基板温度が、SAMの配向と傾斜角度に大きな影響を与えることが分かっている。軌道放射光施設においてNEXAFS計測の結果、通常の成膜プロセスでは、SAMが基板に対して20度傾斜した形で膜形成しており、結果的に有機半導体層においてπ共役系の重なりが小さいことが明らかになり、これがゲート絶縁膜のリークを招き、さらに移動度を低下させている要因であることを突き止めた。今年度は、この点に注力し、SAM製膜時の酸素プラズマ強度、基板温度、SAMの持つ官能基の静電引力(材料の分子間力)を最適化し、SAM傾斜角度を低減することで、無欠陥の均一膜を製膜することに成功した。さらにこれによる移動度の向上も確認できた。これらの成果は、年度当初に目標としていたことを達成することが出来たと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
軌道放射光施設におけるNEXAFSの評価から、SAM膜の絶縁性が不十分であるときの移動度が低下することが確認された。そのためプロセスの最適化を行うことで、この絶縁不良を抑制できるだけでなく、高い移動度が確認された。これは今年度計画していた内容であるが、さらにこの一連の最適化を通して、トランジスタの素子間の特性バラツキを大幅に低減することが出来た。これは、最終年度に計画している大規模集積化によるトランジスタ回路の駆動の信頼性を向上させるために極めて重要である。SAMの均一成膜に伴い、移動度だけでなく、トランジスタの特性バラツキを大幅に抑制できたことは、計画以上の進展であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の目的をクリアーできたことから、二年目は予定通り、ナノヘテロ界面の有機半導体チャネルにおけるキャリア密度を精密に測定し、この電子状態および輸送特性を精密に評価する。これにより、初年度確認した移動度の向上、特性の均一性との関連を詳細に調べる。 より具体的には、高インピーダンスである有機トランジスタのHall測定を高精度に行うため、独自に開発した有機Hall効果計測装置を用いる。有機半導体内には、キャリアトラップ要因が多く存在し、ゲート電界によって誘導されたキャリアが全て伝導に寄与するかは自明ではない。伝導に寄与するキャリア密度の決定には、Hall測定が欠かせない。申請者は、世界で初めてフレキシブル有機トランジスタのHall測定に成功している(Applied Physics Letters, 88, 253508 (2006))。独自のHall測定技術を応用し、ナノヘテロ界面でのキャリア密度および伝導特性を精密に測定し、伝導機構、動作原理の解明を目指す。 またHall測定では、有機半導体層に付ける微細電極が重要な役割を果たす。本研究では、アトリットル・インクジェットを利用し、サブミクロンサイズの電極をオンデマンドに作製することができる。特に、アトリットルの極微量液滴は、着弾する前に有機溶剤が揮発してしまうため、有機半導体へダメージを与えず電極作製できる。申請者は、この技術を世界に先駆けて有機トランジスタに応用した(Proceedings of the National Academy Science of USA, 105, 4976(2008))。この技術を利用し、ナノヘテロ界面でのチャネル形成の微細化限界の解析に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に計画していた研究進捗より、大きく進むことが出来た。特に、初年度では、ヘテロ構造型有機トランジスタの作製とそのプロセスの最適化を主な計画としていたが、それが前倒しで達成され、さらに高移動度化、低リーク電流化に加えて、高均一特性化にも成功したことが、次年度の使用額が変更した主な理由である。この変更に伴う使用計画は以下に記述する。 高い均一性を持った有機トランジスタの作製に成功した。これにより、次年度には、予定通りの高精度Hall測定を実施すると共に、この特性の均一性をトランジスタ特性のみならず、Hall測定の観点からも計測する。Hall測定は、伝導キャリアと非伝導キャリアを定量的に区別することが出来るが、長時間の計測に加えて、強い磁場を必要とする。この環境下で、多数の有機トランジスタのHall計測を行うための費用に用いる。また特に、軌道放射光施設での計測を加速させるための費用に用いる計画である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Ultrathin, Highly Flexible, and Stretch-Compatible PLEDs2013
Author(s)
Matthew S. White, Martin Kaltenbrunner, Eric D. Głowacki, Kateryna Gutnichenko, Gerald Kettlgruber, Ingrid Graz, Safae Aazou, Christoph Ulbricht, Daniel A. M. Egbe, Matei C. Miron, Zoltan Major, Markus C. Scharber, Tsuyoshi Sekitani, Takao Someya, Siegfried Bauer, and Niyazi Serdar Sariciftci
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Journal Title
Nature Photonics
Volume: 7
Pages: 811-816
Peer Reviewed
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[Journal Article] 80. An Ultra-Lightweight Design for Imperceptible Plastic Electronics2013
Author(s)
Martin Kaltenbrunner, Tsuyoshi Sekitani, Jonathan Reeder, Tomoyuki Yokota, Kazunori Kuribara, Takeyoshi Tokuhara, Michael Drack, Reinhard Schwödiauer, Ingrid Graz, Simona Bauer-Gogonea, Siegfried Bauer, and Takao Someya
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Journal Title
Nature
Volume: 499
Pages: 458-463
Peer Reviewed
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